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財前皐⑥
眠りから覚めて、辺りを見渡す。
腰が、秘部が、痛い…。
スースーと寝息が聞こえ、隣を見ると、上半身裸の男が1人。
「げっ、そうだ昨日は…。」
またもや犯された。
二度目。
セカンドバージン消失ってか。
もう頭を掻き毟る。
そうだ、こいつが起きる前に部屋に帰ろっ…。
「ってうわっ…。」
腕を引かれ、ベッドに叩きつけられる。そのまま腰に腕を回され、身動きが取れなくなった。
「どこに行く。」
「帰るんだよ。」
「まだはえーだろ。ここにいろ。俺は眠い。」
「勝手に寝てろ。」
ぬぅ…っと力を入れてもその腕は外れない。そして、力が籠ったまま眠ってしまった。器用なやつだ。
仕方なしに俺もそのまま目を瞑る。
財前は初めて会った時から俺様だった。
俺様何様財前様。
今までの俺の人生の中でいなかった人種。
ああ、いや1人だけいたな。
いつも行っていた公園で会った森田ってやつ。
なんかすげー俺様だったけど、いいやつだったな。そう言うとこは財前に似ている。
確か、また会おうって約束したのに、俺はその後すぐに引っ越して、約束を果たすことができなかった。
でも、その翌年に一度あの公園に行ってみた。まぁ、いるはずもないんだけど。
「お前、実は森田だったりして。ははっ、んなわけないか…。」
だんだんと眠気が襲って来て、その後俺は眠りについた。
目が覚めたら、9時を回っていた。
遅刻だ。
「おいっ、なんで起こしてくれなかったんだよ。」
「別にいいだろ。生徒会役員には授業免除がある。」
「俺はお前らみたいに授業受けなくてもテスト満点取れるような秀才じゃねぇんだよ。」
「よく言うぜ。学年一位の首席がよ。」
「それはちゃんと授業受けてるし、一位じゃないと、学費免除が…。」
「そんなんいくらでも出してやるよ。」
「そ、そう言うことじゃねぇ!」
「チッ仕方ねぇな。今日の分は担当教師に教えるように回しといてやる。いいな。」
まぁ、それなら…。
って、軽く言うなよな。
財前に新品の制服を与えられ、それに着替える。ああ、今から行ったら2時間目か。がっくしと肩を落として、学校に向かった。
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