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曽根柾斗①

そんなことを昨日言いました。結論、何もしていない。 いや、やったはやったけど、あいつら俺に殆ど仕事を寄越さない。そもそもあいつらが優秀なのを忘れていた。 「あーあ、つまんねぇ。」 ポツリと漏れた言葉。 何がって。 それはたぶん、あんまり頼られないこと。 仕事くらいできるのにさせてくれないこと。 別にあいつらに頼られたいとか仕事がしたいとかではない。 ただ、自分はもっと出来るのに出来るはずなのにって、面白くないだけだ。 「俺ってなんだかんだ言って負けず嫌いなんだよなぁ。」 はぁ、と溜息を漏らした。その時、つんつんと誰かに肩を突かれた。振り向くとそこには可愛らしい少年が。 同い年?か…。 「だれだ。」 「あの、生徒会の皆様が体育倉庫に来るようにと…。何か仕事があると言っていました。」 「…?そうか。」 あいつらが体育倉庫って怪しくないか。 行きたくねぇ…。 「あの…?」 でも無視したらこの子が危ないかも。なるほど、そう言う魂胆か。俺の良心をついて、誘き寄せるなんてホントにあいつら悪魔のようだな。 「行く。今から行くから。」 「早く行ってあげてくださいね…。」 コクリと頷いて、外に出る。 あいつら待たせたらまたセクハラ紛いのことされる。 走って体育倉庫に行く。 少し開いたドア。 そういえば、なんで体育倉庫? 襲うならもっとまともなところで襲うだろうし…。 やっぱり仕事か? 倉庫の点検的な? 「ってうわっ…。」 ドンっ。 背中を押されて前のめりになる。勢いよく倉庫に入るとガシャンとドアが閉まる音をした。

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