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交渉①

最悪の気分だ。 目が覚めて、開口一言目がこれ。 いや、もうその通り。 最悪だった。 今までで1番恥ずかしくて、辛かった。なのに、曽根という男はそれを写真に写し、挙句俺に見せてきやがった。もう我慢できない。怒鳴り散らしてやったわ。 ええ、まぁ、でも、お分かりのとおり脅されて終わった。 今日は金曜日。 学校は…行けなかった。 なんなら1日休んだよ。 変な薬も昨日飲まされたし、大事を取ってってことで。 俺は今週何回休んだ。 数えたくもない。 こうなれば、会長だろうが副会長だろうが、出来る限り使って、テストで100点満点とってやるよ。と意気込んだ。 取り敢えず、今日は趣味の読書を楽しむ。最近、まともに本を読めていない。ズル休みしている気分になるが、今日くらいはいい。 「あー、ここにいたら俺、ダメになりそう…。」 急に授業受けなくても問題なくなり、バイトはしなくていい、家事も勝手にやってくれる、快楽に呆けている。まぁ、最後の快楽に関しては自分の意思ではないけど。 ここまで来たら身体を使われるのは一つ置いておく。 まずは俺の安眠と健康維持、あとは勉強時間の確保。 これらを訴えるべきだ。 ということで、夜。 俺は1人、会長の部屋へ向かった。 恐らくだが、会長がいろいろな指揮権を持っている。会長が一言言えば、他の連中も聞くのではないか。そう判断した。 「そう言えばなんの連絡もなしに会長の部屋に辿り着いてしまったけど、良かったのか…。」 自問自答する。 仮にも先輩で学園の生徒会長。それをなんのアポも取らずに部屋に訪れて良かったのだろうか。 やっぱり明日…。 待て、明日は土曜日だ。 それこそアポが。 今、連絡する? でも、携帯の使い方、未だによく分からなくて、変なボタンを時たま押してしまう。 それはそれで問題では? ぐぬぬぬぬ。 部屋の前で右往左往していると、ガチャリとドアが開いた。 「ん…?結城?どうしのかな?」 隠れようとしたが、目の前にエレベーターしかなかった。目の前には会長が。何も言えず、目を逸らした。 「ふふ、僕に何か用かな?」 「いや、あの…。あっ、会長は今から何か用事があったんじゃ…ないんですか。」 「ん?僕?僕は今から食事に行くつもりだったけど…。どうだろう?一緒に行くかい?」 「いやっ、そんな…。それに俺さっき食べたし。」 「そうか。では、デザートを頼むといいよ。それに、僕に何か言いたいことがあるんだろう?」

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