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交渉②
俺の目の前にイチゴがたくさん盛られたパフェが置かれた。
贅沢盛りだ。
ペロリと行けそうだけど。
ってそうじゃない!
優雅にパスタを食べる会長を見ながら、話すタイミングを伺う。
「結城、そんなに見られても何も出せないよ。」
「うゔ…。あの、会長。折り入って頼みがあるんですが…。」
「そんなに怖がらなくていいよ。なんだい?君のお願いならなんでも叶えてあげる。まぁ、叶えられる範囲でならね。」
「…俺の勉強時間を確保して欲しいんです。このままじゃ俺、ダメダメな人間になりそうで。」
「なればいい。みんなどんな結城でも愛すると思うよ。それに、金ならいくらでもある。結城1人を囲うくらいなんてことないさ。」
「俺はお人形さんになんてなりたくねぇよ。今はそりゃあ、やりたい放題されてるけどさ、ちゃんと社会人になって金が入るようになればお前たちの好きなようにはさせない…です。」
「なるほど。それはいい考えだね。」
「は?」
強く握りしめていた手が緩まる。会長は子供が悪戯を思いついたようなそんな笑みを浮かべた。
なんだ、俺。
変なこと言ったか…。
なんか、すごく、いやとてつもなく、嫌な予感が…。
「高校の間で結城を落とせばいいってことだね。面白いゲームだ。」
「ゲームって…。俺の人生がかかってんだけど…。」
「ゲームにはちゃんと条件をつけないとね。どうだろう。僕と菊臣が卒業するまでに結城が僕たちと共に歩みたいと言ったら僕たちの勝ち。もちろん、生徒会の中の1人と歩みたいと言うのならそれでも構わない。結城が決めるんだ。」
「もし、そのゲームで俺が誰も選ばなかったら?」
「それ以降結城には関わらない、でどうかな?仕事や授業関連などの用事を除いてね。」
そんなの俺の一方的な勝ちゲーじゃん。永遠に続きそうな今の現状が1年で終わるなら、やったところで何も困らないか…。
「分かった。それでいい。あっ、でも、勉強時間…。」
「ああ、そうだったね。3日に1回の頻度にしてあげよう。プラスで次の日にまで影響を来すようなら罰として2週間お触りなし。ああ、でも、土日は続けてしないとみんな我慢しきれないか。それなら週に3回にした方がみんな分かりやすくていいかな。」
なんの頻度か。
なんて聞かなくてもわかる。
そして、そんなことを本人の目の前で決めないで欲しい。こちとら、1週間に1回だってしたくないんだ。
「もう、好きに決めてくれ。」
文句を言ったところでこの目の前にいる生徒会長は勝手に決めていくんだろう。それに、どうせ俺が拒否しても言葉巧みで上手く丸めこまされる。
無意識に溜息をつく。
あと、1年。
いや、会長が卒業するまでならあと1年もない。そこまで俺は耐え切れるだろうか。
ああ、もう!
俺は目の前にあるいちごのパフェをつついた。
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