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父と母②
「結城?なんでドア閉めたの?」
「いや、別に…。」
「お客様でしょ?」
今度は母さんがドアを開ける。
「あらっ、柾斗君じゃない。お久しぶりね。」
「お久しぶりです。洋子さん。」
曽根がいた。
母さんが部屋に招き入れる。
「って、何人の母親を下の名前で呼んでんだ。」
「いいじゃない。結城。柾斗君狭い家だけど、ゆっくりしていって?」
「はい。お邪魔します。」
母さんはお茶を出すためにキッチンに行く。俺はその間に曽根を睨みつけた。
「おいっ、また何のようだ。」
「お父さんのことだよ。会長は今日は大事な用事があるみたいだから、俺が代わりに話すことになったんだよ。それに結城君の友達って認めてもらえてる人間が話したほうがいいでしょ?」
「まぁ、確かにその方が母さんは余計な心配しなくていいけどさ。」
「なら、いいでしょ。それに、俺がいないと結城君すぐに変なこと言いそうだもん。」
さっき口を滑らした身として何も言えねぇ。母さんがお茶を持って机に置く。席をつくのを確認するとともに俺は口を開いた。
「あの、母さん…。あのさ、父さんのことだけど…。」
「お友達が来ている時にその話は…。」
「いえ、今日はその件で伺いましたので。結城君のお父さんの行方や弁護士について。」
「あら、さっき言っていたお友達は柾斗君のことだったの?」
「さっきのお友達かは分かりませんが、俺じゃなくて正確にはうちの生徒会長がいろいろと手配してます。」
「生徒会長さんが?うちの為に、なんだか悪いわ。」
「いいんですよ。やりたくてやっていることなんで。それに、可愛い後輩の為です。そういう人なんですよ、会長は。」
嘘つけぇぇ。
何が可愛い後輩だ。
嘘っぱちにも程がある。
白い目で曽根を見つめると、手を摘まれた。
「いたっ!」
「結城?どうしたの?」
「いや、なんでも…。」
隣でため息を吐く音が聞こえた。
「それで、結城君のお父さんの居場所は掴めていますが、どうしますか?直接会いたくないようでしたら弁護士に頼ることもできますが。」
「あの人に話したいこともあるから、私が会いに行くわ。ただ、弁護士さんには色々と相談に乗ってもらいたいのだけど、いいかしら?」
「もちろん。弁護士は確か会長の叔父だと言っていました。恐らく融通も効くでしょう。弁護士との面会はいつできそうですか?」
「そうね…。」
俺は置いてけぼりになりながら、話しの行く末を見守る。早く母さんも楽になればいい。そう思いながら…。
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