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早乙女鈴太郎①

昨日はまぁいい休日を過ごせた。 そして今日もいい天気だ。 外に出掛けるのもいいし、ジムやプールに泳ぎに行ってもいい。 悩みどころだ。 日の光に照らされながら読書するのもなぁ…。 ベッドから這い出て、ご飯を食べながら考える。その時、家のチャイムが鳴った。 「だれだ?こんな朝っぱらから。」 ドアを開けると、そこには可愛らしいゴスロリを着た女の子がいた。訳もわからずハテナマークで頭がいっぱいになった。 「だ、だれだ。」 男子校で、男子しかいない寮。 おかしいのは明白だ。 誰かの妹とか? いや、妹でも流石に入ってこられないだろ。 「えぇ〜、ユーキ君ひどぉい。僕だよぉ〜、早乙女鈴太郎だよぉ?」 「は?な、なんでそんな格好。」 上から下までじっくり見つめる。確かに早乙女は可愛い顔つきだ。でも、だって、なぁ? 「この前もぉ、女の子の格好してたでしょ〜?」 「いや、してたけど!」 この前はまだ早乙女が残ってた。 男がすこーしだけ残ってた。 でも今は女!って感じで、なんか、やばい。 「へぇ?ユーキ君、僕のこと見惚れてるぅ?女の子とあんまり接点ないからぁ、童貞心くすぐっちゃったぁ?」 「うるさい!もう、なんのようだよ…。」 「あー、そぅそぅ、今日空いてるでしょ〜?ふふふ、デートしよっか。」 寮を出てすぐに広い公園がある。 テニスコートやアスレチック、ランニングコース、大きな花壇が完備されている。 それを認識したのはつい最近のこと。 寮の外を見て回ることがこの1週間で殆ど無かったが、車移動中と買い物しに行く途中でここに公園があることを知った。 公園であるから、公共の人も使っているようだが、見るからに富裕層ばかり。金持ち専用の公園なのか…。 「ここ、会員証ないと入れないからぁ。」 「会員証?」 「そぉ。変な人が入ったら大変でしょぉ?それにぃ、あんまり人が多すぎると来る気なくなるしねぇ。」 どうやら、本当に金持ち専用の公園だったらしい。 「にしても、広いな。会員証ってどうやってもらうんだ?」 「僕らは顔パスだよぉ〜。入り口で普通に入ってこれたでしょ〜?」 顔パス…。 恐ろしい。 「それで?何しに来たんだ?」 「え〜、言ったでしょ〜?デートだよぉ。デート。」 「は?デート?」 「どうせぇ、他の人はみんな会って早々セックスでしょ?僕はぁ、好きな人に自分を知ってもらいたいのぉ。」 今、好きな人って言ったか? いや、まさか…。 「好きだよ、ユーキ君。恋愛的な意味で。」 「なんで…、そもそも俺、男だし…。」  「なにそれ、今更ぁ?あんなに男相手にあんあん喘いでたくせにぃ。」 「あれはっ…。って、好きならなんであんなことするんだよ!」 「それはぁ、ユーキ君を見てると、我慢できなくなるからだよぉ。まっ、今はとっても我慢してるけどねぇ?…それともぉ、今から帰って直ぐにでもエッチなことする?」 ゾクゾクっと身体に刺激が走った。 頭を必死で振る。 すると、早乙女はやっぱりと言ったように笑った。 その笑顔はまるで少女のようでポッと顔が赤くなる。 「どーてー。」 「うっせ。」

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