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早乙女鈴太郎③
カフェに入り、俺はケーキと紅茶のセットを頼んだ。早乙女は苺パフェと生クリームがのったチョコレートラテ。俺も甘党だと思っていたがその上がいたらしい。
公園をぐるっと一周するのは思った以上に楽しかった。春の陽気な天候がまた晴れ晴れとした気分にしてくれた。
きっと桜も綺麗に咲くんだろうな。
夜桜とかいいよなぁ。
少し前に過ぎてしまった桜の季節に想いを馳せる。
「楽しんでくれたぁ?」
「あぁ。まぁ、楽しかったよ。」
「偉く素直だねぇ。」
「礼は言うよ、俺は。お前が連れてきてくれなかったら、今日は部屋に閉じこもってただろうし。次はここで読書してもいいかなって思ったし。」
「そっかぁ。気に入ってくれたならよかったぁ。僕もぉ、結城君のことさらに知れて良かったよぉ。」
「俺のこと?」
「うん。甘党だけど、甘々じゃなくて、適度に甘さを抑えるものがあった方がお好みとかね?あとはぁ、花が好き。というか、自然かなぁ。のんびりした時間が好きなんだねぇ。」
その通りだ。
貧乏性からか、お金がかかる遊びは遠ざけてる。
その代わり、小さなことに幸せを見出すのは慣れた。というか、自分の幸せがただ単に道端に咲いた小さな花を見つけることなのかもしれない。
「お前はその格好が好きなのか?」
フリフリした格好。
女のような格好。
側から見たらデートに見えるんだろうか。
「変?」
「いや、別に?驚きはするけど、特に何も思わないし。それに、似合うしさ。あっ、そう言えば一回女装が趣味だーって行ってた子に会ったことあるなぁ。お前とその子きっと会えば仲良くなれるかもな。」
「…ふーん。覚えてたんだぁ。」
「…?なんか言ったか?」
「ううん。僕はもう悩んでもないしぃ卑屈にもならないよぉ。だって、こんなに似合ってるもん。両親にも認めてもらえたしぃ、友達にも受け入れてもらえた。まぁ?全ては僕が可愛いからだよねぇ。」
なんだこいつ。
あれか?
自慢か。
深いため息をついて、紅茶を飲んだ。
このカフェでゆっくりしながら本を読んでもいいなぁ。日差しがあたって、なんか眠たくなってきた。
眠たく…。
あれ?
なんか、これ、デジャヴ…。
また…かよ…。
「相変わらず、単純だねぇ。ユーキ君。」
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