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新歓!!①
約1週間で5人の相手をした俺。
頭が痛い。
「あー、もぉ…。」
今日は月曜日。
俺は休日という名の休暇をとることが出来ず、今日も尻を庇って授業に出ている。
一応、一時間目から出席は出来たものの、こんなの全然!全然!集中できない!
「まぁ、まぁ、僕が教えてあげるよぉ。」
「やだよ、お前頭悪そうじゃん。会長とか副会長とかの方がまだまし…。」
見る限り早乙女が1番頭が悪そう。まず、喋り方が馬鹿みたいじゃないか。
「結城君、残念ながらこの3人の中だったら1番頭いいのは鈴太郎君だよ。」
「は?嘘だ。」
曽根の言葉に早乙女を二度見する。うん、どう考えても頭いいとは思えない。
「んー、鈴太郎君は見た目はこれだけど、あそこの大きさと頭の良さはすごいからねぇ。人って見た目で判断しちゃだめだよね。」
「あそこの大きさって…。」
「うわぁ、今、結城君想像したでしょぉ〜。えっちぃ。」
「うっせぇ!」
あんなの忘れろって方が無理だ。
だって、こいつのは…。
だぁぁぁ!だから、忘れろぉぉぉ。
「百面相かよ。結城。変態だな。」
「げっ、財前…。」
悪魔三人衆再び現るってか。
この3人が集まるとロクなことが起きない。
ある時は教科書が消え、ある時は机に落書きが。小学生並みの悪戯の他にもいろいろなことが起きた。
思い起こせば、この3人がコンビニに現れてからさらなる悲劇が待ち受けていたな。なんだ、こいつら悪魔か。いや、悪魔だって。
「んで、なんだよ。3人揃って。授業受けに来たわけじゃないんだろ?」
こいつらは殆ど授業という授業を受けない。生徒会権限だ。クラスにも姿を現すことは少ない。
ただ、一時期3人とも授業をまともに受けていたことがあった。あれはなんだったんだろうか。
「じゅぎょーなんてうけるはずないでしょぉ?」
「普通は受けるもんなんだよ。で?なんだよ。」
「今日から生徒会は忙しくなるって話をしに来たんだよ。新歓が近いからね。その話し合い。だから今日は授業終わったら速攻で生徒会室に来てね。」
新歓…。
新入生歓迎会。
懐かしいな…。
去年は立食パーティーだったな。
あれ、美味いものばっかで幸せ死ぬところだったんだよなぁ…。
あっ、やばいヨダレが…。
「食い意地はってんな。」
「うっせぇ。って、なんだよ。」
財前が机の上に何かをのせた。箱だ。茶色い箱。箱って言っても正方形の形じゃなくて、平べったい感じの箱。ああ、これぞまさしく洒落乙ってやつか。
「って、なんだよ。開けたらビリビリする奴じゃないよな。」
「ちげぇよ。開けろ。」
恐る恐る箱に触れる。
びっくり箱にしては平べったいしな。
なんだ、分からないから余計怖い。
ゆっくりと箱を開ける。
何かが起きる前にギュッと目を瞑った。
しかし、何かが起こったような音も、感触もない。
そっと目を開けると、箱の中には小さなチョコが置いてあった。
「なにこれ、チョコレート?」
「食いてえって言ってただろ。」
言ってたっけ?
思考を巡らせる。
ああ、確か、帰りの車に乗ってる時。
例のリムジンで俺が腹減ったと言ったらチョコレートを出してきたんだ。凄く美味くて、また食いたいって言った記憶がある。
それを覚えてたのか?こいつは。
軽くショックを覚える。
「んだよ、食わねぇなら返せ。」
「いる!いるに決まってんだろ!」
チョコレートを手に取って口に放り込む。舌の熱でトロリと溶けたチョコレートは口内に広がる。
「美味しい…。」
「あー!財君ずるぅい。ユーキ君に貢ぐなんてぇ。」
「うっせぇ。」
「まぁまぁ、鈴太郎君、許してあげよう?皐君は朝からいつどこでこのチョコレートをあげるか考えてたんだから。健気だよねぇ。」
ちらりと財前を見ると、ふいっと目を逸らされた。ツンデレか?
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