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新歓!!③

「さて、例年の新入生歓迎会では立食パーティーを行ってきた。しかし、多方面から新しい試みをしてみたらどうかと案が出ている。みんなの意見が聞きたいけど、何か思い付いたかな?」 会長の言葉でみんな自由に意見を述べる。意外と真面目に討論してるあたり、仕事に関しては優秀だ。まぁ、意見はぶっ飛んでることもあるけど。 「有名な海外歌手を呼ぶ。」 「世界各国を回る有名歌劇団の劇を鑑賞する。」 「有名ピアニストの演奏。」 何故何でもかんでも有名を付けたがる。 あえて言わないけど。 「結城は何か意見はあるかい?」 言い淀む。 意見なんて思いつかない。 さっき貰ったレジュメを眺める。 今までの新歓を簡易的にまとめたものだ。その中に鬼ごっこと書かれていたのはみなかったことにするとして、どうするか。 「旨いもの沢山置いてあるといいな。」 「お前は食い意地ばっかはってんな。」 「うっせぇ。でも、旨いもん置いてたら基本みんな嬉しいだろ。」 「あっ、そぅだぁ…。ならぁ、庶民ごっこするのはどうかなぁ?」 庶民ごっこ…。 こいつ絶対馬鹿にしてんだろ。 「例えば何をするんだい?」 「えっとぉ、庶民のゲームして、庶民の食べ物を食べるのぉ。」 「なるほど。いい案だね。」 いい案なのか…。 これが本当にいい案なのか…。 「庶民ってどんなゲームするの?」 曽根の質問に俺は戸惑った。 庶民のゲームって何…。 ってか逆に金持ちは何のゲームするの。 「ちゃ、チャンバラとか?」 「チャンバラ?何それ。」 「新聞紙の紙を細長く丸めて叩き合うゲームだな。」 「剣道の訓練で一度したことがある。危険性が高いからやめた方がいい。」 副会長から却下された。 いや、本気で言ったわけじゃないし。 ってか、言うほど危険性ないだろ。 「新歓は一年生同士の親交を深めるとともに、上級生との繋がりも重視する。出来ればグループ活動や積極的に話ができる場であった方がいい。」 流石副会長。 鋭い意見だ。 他とは違う。 うんうんと頷く。 「そんなゲームはないか?」 そしていきなりのパス。 グループ活動で、積極的に会話に参加できるゲーム…。 ドッジボールとか? 作戦立てられるし、グループ活動。 でも、いい歳してドッジボールとかな。 それに球技大会じゃないんだから。 「んー、あっ、ウォーターサバゲーとか?」 「何だそれ。サバゲー?」 「いや、水鉄砲で撃ち合うんだよ。ものほんのサバゲーだと危ないけど、水ならそうでもないし。チーム組んで敵の大将倒したら勝ちとか…。って、ダメだよな。」 「いいんじゃないかな。面白そうだし、新しい。ただ、全校生徒でやるには些か時間がかかり過ぎる。1年生は強制参加にして、2、3年生は募集をかけよう。その後は例年通り立食パーティーでもすればいいだろう。」 それ、全部俺の意見入れてんじゃん。 いいのか? 「せっかく新しいメンバーが入ったんだ。結城の意見を最大限活かしていこうと元々話していたからね。みんないいかな。」 生徒会全員がうんうんと頷き、俺の意見が採用された。

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