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離婚④

寮に戻って、一休み。 昨日はいろいろあった。 色々って言っても、父さんと母さんが離婚しただけ。 でも、まぁ、疲れているわけで。 朝ご飯なんて作る気にもなれず、2階のレストランに向かった。朝ご飯はしっかり食べる派の俺は米に魚と味噌汁の和食を用意してもらった。ほかほかのご飯は美味しい。 「おい、結城。」 ばっと顔を上げると、何様俺様財前様がいた。 「なんだよ。」 「離婚成立したらしいな。」 率直に聞いてくる。こくりと頷いたが、財前は特に口を効かない。俺が味噌汁を飲んでいる間も、財前は眉を寄せ、何かを考えてる素振りをしていた。 なんだこいつ。 「おい。」 「なんだよ。」 「俺は親父の隠し子だ。」 「聞いたことあるけど…。」 「親父と本妻の間には子供は出来なかった。だから、後継として引き取られた。母親と親父の間に愛はない。俺と親父の間に絆はない。だが、特に問題なく生きていける。」 「…慰めてくれてんの?」 「うっせぇ!いいか。親父がいなくたって全く問題なんて発生しないんだ。そんなめそめそした顔してねーで、いつもののほほんとした顔で美味そうに飯食いやがれ!!」 席を立ってどすどすと去っていく。慰められた。気がするのは気のせいだろうか。 「皐君は素直じゃないねえ。」 「曽根…。俺、そんな慰められるような雰囲気出てた?」 「んー、どうだろ。いつも美味しそうにご飯食べてるのに、今日は味わってない感じはするかな。」 そんなことない気がするけどな。 「俺、あのクソみたいな父親と親子の縁切れて悲しんでんのかな。喜んでる気がしたんだけど。」 「結城君は父親と縁を切ったことに別に悲しんでるわけじゃないのかもしれない。どちらかと言うと洋子さんを助けられるのは自分だけで、もう父親には助けを求められないんだって知って、重責になってるのかもしれないね。なんたって、筋金入りのマザコンだから。」 「マザコンいうな。」 確かに母さんのことは大切だけど。 でも、そうか。 俺、心配なんだ。 「なら、酒田さんの発言でモヤモヤしてたのはなんでだろ…。」 「それは、マザコンだからじゃないの?」 「マザコンいうな。」 「マザコンだよ。やーとっ、父親に囚われなくなったのに、お母さんがまた取られちゃう〜って。」 「ちげぇー。」 「男はそんなもんだよ。気にしない気にしない。…ごめんごめん。たぶん、結城君は酒田さんにお母さんが傷つけられるの嫌なんだよ。また傷ついてほしくない。ってさ。」 そっか、そうなんだな。 「マザコン。」 「違う。」 「マザコン。」 「違う!けど、酒田さんに母さんはまだ手出しさせないから!覚えとけ!」 「マザコン。」 「ちっがーう!」

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