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媚薬の酒⑤
「結城、僕のことも忘れて貰っては困るな。」
かぷりと、楓は結城の首筋に甘噛みする。
皐とは違う。
すぐに消える痕。
だが、確かに含まれる独占欲。
「結城、イくぞ。」
「あゔっ…、あっ、あっ、うゔん…。はぁはぁ、はぅっ、はぁ、あっ、あっ、あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!」
確かな絶頂。
快楽の限界。
だが、まだ1人足らないと訴える男がいるのを知っている。
虚な目で息を整え、されど結城は楓に跨り腰を下ろす。楓はきょとんと目を丸くする。お互い向き合うように目と目が合う。
はぁはぁと漏れる息。
楓の逸物は立ち上がって、萎えることはない。
それをいいことに、硬くて太いそれを尻に当て、自ら挿入した。
「うっふぅ…。」
いやらしく漏れる声。結城は恥ずかしがることもなく、それを感受する。
「かい、ちょ?気持ちっんぅ…いい?」
とろける顔。
それは恐ろしいほど緩くだらけきっていた。腰を一生懸命振る姿はあまりに可愛く、楓はついにはその腰を抱いて腰を振らせる。
「んっ…。」
「君は、どこまでっ、くっ…、僕を驚かせる。僕の想像から逸脱して行くのは本当に君くらいだ。」
向かい合わせで抱き合っていた結城を押し倒し、今度は楓が主導権を握る。
「もっと気持ちよくしてあげるから。」
甘い言葉に結城の表情はとろんと蕩けた顔をした。
本当は起きているのでは?
素の状態なのでは?
と問いたくなるほど、可愛くて愛おしい。
これが忘れられるとなると、寂しい。どうか、結城が酔いで記憶を無くさないタイプであることを祈る。
「結城、もう一回イこうか。」
「ふっんっ!んぅっぅ、あっ、あっうっ!はぁぁぁぁ、んぅあっ、あぅうんんん!ぁぁぁぁあああ。」
「くっ!」
楓は結城の中で果てた。
結城は満足したのか、その場で眠りにつく。
本当に憎いほど可愛い。
「混ざらなくて良かったの?」
「別にいい。」
その言葉は結城を気を遣ってのことだとすぐに分かる。
「僕は皐が1番怖いよ。君がいなければ結城を隠して誰にも文句が言えない程囲い込めていたのに。」
「今だって出来るだろ。」
「財前グループを敵に回したくないし、何より君は結城に何かあれば、何を犠牲にしてでも取り返すだろ?」
「他のやつらも同じだろ。」
「どうだろうね。鈴太郎は家族を愛しているし、菊臣は三男だから好き勝手できない。柾斗は…そもそも初めの時点では結城にそこまでの気持ちはなかった。」
「どうだか。それこそ、他の奴らはもうどうしようもないくらいこいつに囚われてんだろ。こいつが誰か1人選んだとしたら、素直に諦められんのかね。」
それはきっと…。
無理だ。
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