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愛の証明⑤

※ 柔道試合シーンがありますが、ルールなど違う場合はご指摘いただけると幸いです。 ーーー 大会場所についたのは試合も後半に近づいている頃だった。 「これはまた、何か仕組んだのか?こんな奇跡的な試合順あるもんか。」 AシートBシートとあり、Aシートには副会長、Bシートに部長の名前があった。そして、勝ち続ければ決勝で2人が打つかる。まるで、漫画みたいな展開だ。 「まさか。何もしてないよ。強いて言うなら、同じ高校同士は離される傾向があるのと、前回の優勝準優勝を別シートにしたんだろう。その方が盛り上がるからね。」 会長は平然と答える。 まぁ、確かに言っていることは正しいんだけど。 「それで?副会長は?」 「順調に勝ち進んでるよ。たぶん、このままいけば、昨年と同じ構図が見れる筈だ。」 その言葉通り。決勝戦に勝ち残ったのは副会長と部長だった。どちらも怪我もなくピンピンしている。 俺らは2階席で座って試合を見守る。 副会長が誰かを探すふりをした。 そして、目があった。 俺を見るなり、ふっと穏やかに笑い、前をむいた。ああ、だから、だから、少女漫画のメインヒーローか! 「はじめっ!」 呆然としていたら、審判らしき人物が試合開始を告げた。柔道の試合のルールは曖昧で、あまりよく分からない。一応、ルールブックを読んできたもののいまいちピンと来なかった。 「菊臣、今日は絶好調みたいだね。」 「え?」 会長曰く、非常に動きがいいらしい。ただ、流石前回覇者。そんな副会長とも互角にやり合っている。どちらも見合う状態。どちらが先に仕掛けるか。 「動いた。」 先に仕掛けたのは部長の方。 足を引っ掛け、押し倒された。 「あっ…。」 負け…。 「技あり!」 「危なかったね。」 「負けてないの?」 「もう一回技ありを取られれば負けだね。」 じゃあ、リーチみたいなもん? 「一本取れれば勝てるよ。ただ、あの部長もそう簡単にくれるとは思えないけどね。地道に行くのがいいのだろうけど…、菊臣はそれだと満足しないだろう。」 「なんで…。」 「去年は一本負けだったからだよ。結城、ここで決めるといいよ。応援するか、しないか。君次第で恐らく試合の行方は大きく変わる。」 応援するか、否か。 それは、副会長の想いを受け入れるか受け入れないか。でも、そんなの決まってるんだよ。 ここに来るって決めてから。 「副会長ーーー!!頑張れーーー!!」 腹の底から出た声は体育館に響き渡った。その声が聞こえたのか、たまたまか分からないけど、副会長はニヤリと笑い、部長の胸元を掴み、投げ飛ばした。 「一本!」 決着はついた。 それは、一瞬だった。 勝ったのは、副会長だ。

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