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悪魔の笑み①

梅雨も明け、もうそろそろ夏に突入する。 それはさておき、夏といえば夏休み。 バイトを禁止された俺は、夏休み何をすればいいのだろう。 「夏休みの前に期末だろ。」 ツッコミを入れたのは財前。 彼はツッコミ担当である。 「そんなの分かってる。」 勉強の方は滞りなく進んでいる。会長、副会長という味方をつけた俺に、テストで失敗することはまずないだろう。そもそも、前からテストでは学年一位だったんだから。 「お前、夏休みは生徒会で意外と忙しいからな。」 「なんで…?」 「夏休みには合宿がある。生徒会のな。まぁ、殆ど遊んでるけどな。交流の場ってわけだ。それと、夏が明けて待ってるのは学園祭。生徒会が仕切るから、仕事は山ほどある。」 なんと…。 学園祭。 去年は何してたっけ? うちのクラスは有名な絵画を飾ってたっけ? 隣のクラスは有名なシェフを呼んでレストラン開いてた。 あれを、生徒会で仕切るとなると、そりゃあ夏休みも潰れるだろう。 「じゃあ、夏休みは学校づけか。」 家に帰って、母さんと過ごしたかったな。 「安心しろ。家にくらいなら帰る時間はある。マザコン。」 「マザコン言うな。それより、学園祭にあんだけ力入れるんだから、やっぱりいくら金持ち坊ちゃんでも学園祭は楽しいもんなんだな。」 「ちげーよ。」 「え?」 「学園祭は絶好の社交場だ。自分の能力とか人脈をアピールして、将来性があるってのを大人達に知ってもらう場だ。」 つまり、俺の家は俺が引き継ぐから安泰ですよー。今のうちに仲良くなりましょー。ってことか。ご苦労なことだ。 「まっ、単純に楽しんでる奴もいるけどな。人によっちゃ、そういう楽しく仕事してる奴の方が有能だと考える奴もいるし。」 大人たちが集まる場所。 それをうまくまとめられなかったら、こいつらの評価も落ちるんだろうな。 …俺だって別にこいつらのの評価を落としたいわけじゃないし、むしろこんだけ毎日頑張ってるんだ。もっと評価を上げたい。 「よしっ!頑張るぞ!」 「お前の仕事は雑用だよ。」 「…。」

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