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悪魔の笑み②

学園祭かぁ…。 もうそんな時期か。 早いなぁ…。 って、まだ2ヶ月も先の話だよ。 『パシャっ』 「ん?」 突然のシャッター音。 驚いて、音の鳴る方を向く。 「曽根…。なんで、写真撮ったんだ。」 曽根はカメラを右手にこちらを見た。 「洋子さんに頼まれたんだよ。」 「母さんから?」 「そっ、結城君洋子さんが連絡しても大丈夫、心配しないでしか送らないんでしょ?だから、洋子さん心配して俺に連絡とったんだよ。それで、俺が結城君の元気な写真撮ってあげるって約束したんだ。」 証拠だと言うように携帯を俺に見せる。その画面には確かにそんな内容が書かれていた。 「まじか…。」 母さん、なんでよりにもよって曽根なんだ。 いや、俺が母さんに紹介したの曽根しかいないんだけどさ。 「というわけで、今から俺の部屋行こっか。」 「は?なんで。」 「メール読んだでしょ?洋子さんは結城君がみんなと仲良くしてる姿が見たいって。だから、俺の部屋で遊んでる姿を撮りたいの。」 一瞬悩む。 母さんの頼みなら仕方ない。 けど、こいつは信用出来ないし…。 「洋子さん、結城君が楽しそうに遊んでる姿見たいらしいんだけど、結城君が断るなら仕方ないか。あーあ、洋子さんにどう言い訳しようかな。」 「分かった!分かったよ。ほら、行くぞ。」 食べてた牛丼を掻き込んで立ち上がった。 もし何かあったら、今度は反撃してみせる!! 「結城君って本当にチョロいんだから。」 えっ…。 扉を開けて中に入った瞬間。 後ろから口を押さえられ、手錠をかけられた。ニマニマ笑う曽根はまるで悪魔のような恐ろしさだった。

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