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社交界①
社交界。
それもなんと柊家の御当主様の誕生日会らしい。
いい歳して誕生日会なんてwとか勿論言える筈ないし、なんなら思う事すら罪だ。ガチガチに固まりながら会場についた。母さんは何故か余裕がある。
「母さん、なんでそんな緊張してないの?」
「あら、誕生日会でしょう?」
なんだろう、天然ボケ…?いやいやそんなそんな。そんなわけないよな…。
「結城。」
「あっ、会長。」
スーツ姿の会長。さすが、俺とは違ってスーツ姿がよく似合う。
「結城さんのお母様ですね。初めまして。生徒会長を務めております、柊楓と申します。」
「ご丁寧にありがとうございます。結城の母の南洋子です。いつも結城がお世話になっております。」
「いえ、結城君にはいつも助けられているので。ああ、そうそう。先程、叔父が探しておりましたよ。」
「あら、そうなの。」
「結城君の案内は私が引き受けますので。」
「ありがとう。結城、ご迷惑おかけしないようにね。」
母さんはそれだけ言うと、酒田さんの元へ行ってしまった。
「さすが、結城。とても似合ってるよ。」
「会長に比べたら、俺なんてスーツに着せられてるようなもんだよ。」
「ふふふ。そんなことないけど。あまり緊張しなくて大丈夫だよ。会場に入ろうか。」
ロボットのようにかくりと頷く。
社交界もどきは学校で経験してるんだけど、やっぱり自身より幾分も歳上で、何より身分がここまで違うと恐れ多い。
身分なんて関係ない。
俺は俺だなんてそんなこと言えない。
それ程までに煌びやかで美しい世界だ。
ひたりと冷や汗が流れた。
「結城、大丈夫。君が思うほど彼らは凄くない。醜い感情を持ったただの人間だよ。神でもその使いでもないんだ。」
手を優しく握られ、ホッと息をついた。会長の方を見ると、ふわりと笑っている。その顔を見て、なんだかとても落ち着いた。
「ほら、美味しいものも置いてある。後で一緒に食べようか。」
「うん。」
「まずは挨拶するのがマナーだから。僕の父から挨拶しに行こうか。」
「うん。」
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