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準備とコスプレ①

夏。 夏休み。 というのに、今日も今日とて、生徒会の仕事だ。バイト尽くしだった去年に比べて余裕はまだあるものの、意外と生徒会の仕事も重労働だ。 「あれ…?珍しい組み合わせだな。」 生徒会室に入ると副会長と早乙女の2人がいた。あまり見ない組み合わせに驚く。 「かいちょーと財君は家のお仕事で、柾君は学園祭関連の仕事で外出中〜。」 ああ、だからか。 じゃあ、今日はこの2人と一緒か…。 大丈夫かな? 「それより、今日は会長の叔父さんとお母さんとでご飯だったんでしょ?どうだったぁ?」 「いや、まぁ、普通だな。」 いつも通り、ふわふわしてる母さんとその母さんを愛してます!って感じの酒田さんがいるだけだった。 酒田さんは苗字は違うが、柊家の血筋を継ぐもの。警戒はしたけど、2人は両思いだから取り敢えず今は保留にしておいた。 「かいちょーは着々にユーキ君を囲ってる感じするよねぇ…。どうにかしないと、知らないうちにユーキ君を奪られちゃうなぁ。」 早乙女が目を細め、笑った。 なんだか身の危険を感じて、急いで置いてあった書類に手をつけた。 「南。」 「うわっ!副会長。」 無言だった副会長がいきなり声をかけてきた。あからさまに驚いた俺にすまないと一言。 この人に一途な愛を呟かれた訳だけど、関係性が激変に変わる事はなかった。いつも通りの接し方だ。 「南、来て早々で悪いが会議を行う。」 「会議?3人で?」 「学園祭では生徒会も出し物をしなくてはならない。他3人は適当に決めていいと言っていた。時間もないからすぐに決めたい。」 生徒会の出し物か…。 「演劇とか?」 「素人の演劇を見て誰が楽しむんだ?」 あれ?育ちの違いが今出たぞ。 「菊君、頭硬いよぉ。素人が下手な演技するのを笑うっていう楽しみ方があるでしょ〜?」 なんちゅう考え方してんだよ。ってか、それだと笑われるの俺たちだぞ。 「じゃあ、例えばなんだよ。」 「んー、例えばぁ、ファッションショーとか?僕たち人気だからぁ、需要あるでしょ〜。」 お前らはそりゃ人気だろうが、それ、俺からしたらお前らのファッションショーみてどうなんだってなるぞ。白けるぞ。 「あっ!試しに着てみる?」 「何を?」 「これ!」 早乙女の手には軍服のようなものが握られていた。

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