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ホラー映画鑑賞会③
部屋に戻り、ベッドに寝転がる。
風呂場では常に背後に何かがいる気がした。目を閉じることも出来ず、大音量でバラエティ番組を流し、気を紛させた。そして、すぐにベッドに入ったがいいものの、全然寝れない。何度も寝返りをうったが、眠気は襲ってこない。
「うぅ〜いつもならすぐ寝れるのに…。」
目を瞑るとシーナの顔がドアップで映る。迂闊に目も閉じられない。
ゴロゴロとベッドの上で転がる。嫌だ嫌だと頭を振りながら目を瞑る。
いつか寝れる。
きっと寝れる。
そうだ何か考え事しよう。
今度生徒会の合宿がある。行き先は海だと言っていた。遠出はあまりしないから、何を持っていけばいいか分からない。
海といえば水着か?
…なんか、あいつらにまた変なことされそうな予感。ここはもうエッチなことするの割り切った方が気が楽なのかな…。
なんて、思ってみたりして…、ははっ…。
そんな馬鹿なことを考えていたらいつの間にか眠気が襲ってきた。ああ、漸く寝れる。なんて心の中で思いながら、眠りについた。
目が覚めるとあたりは暗かった。
ベッドの上に誰かがいた。
だれ?そう思って布団の上を見つめた。
女が俺の上に乗っていた。
『どうして…どうして…』
そう呟く。
その顔は…、シーナではなくアンの顔。
血だらけのアン!
ばっと身体を起こした。
辺りを見回すが、何もいない。
変な汗が流れて、気持ちが悪い。
時計を確認すると夜中の2時だった。もう一度寝ようと身体をベッドに預ける。
眠れるはずがない。
涙目でスマホを見る。
足が震える。
立ち上がって、真っ暗なテレビの前に行く。リモコンを探してテレビをつけたのはいいものの、どこか暗い番組ばかり。
遠くでする笑い声すらも恐怖を誘った。
息を飲み、目を瞑る。
何かがいる気がする。
怖い…。怖い…。
「怖い…。」
チャイムを鳴らした。
部屋着姿の柾斗がそこにはいた。
「あれ?どうしたの?こんな夜遅くに。」
「…俺、なんでもする。なんでもするから…お願いだから一緒に寝て…。」
鼻を啜り、頼み込む。
柾斗の姿を見てどれほどホッとしたことか。
もう1人でいたくない。
誰かと一緒にいたい。
それだけが頭の中でぐるぐると駆け回っていた。
「結城君、怖かった?」
「うん。」
「やけに素直だね。いいよ、結城君。中入って。」
案内された柾斗の部屋は柾斗らしい簡素な部屋だった。そして、リビングには何故か皐が寛いでいた。
「なんで皐がいんの?」
「映画3本借りてたろ。それに、どうせお前、ここ来ると思ったから。」
「な、なんで…。」
「そりゃあ、あんだけ怖がってたらお前1人で寝れねぇだろ。んで、お前の部屋から1番近い柾斗の部屋にくんだろう。どうせビビってんだから。誰かれ構わず頼るに決まってる。」
なんだその推理。
間違ってないがムカつく。
「結城君。何でもしてくれるんだよね?何しようか?エッチなことする?」
「なっ!んなこと!」
「え?してくれないの?してくれないなら別にいいんだけど、それなら1人で寝ることになるけどいいの?」
「ゔっ…、わかった、わかったよ!」
ベッドルームに移動する。
「皐も来るのか?」
「当たり前だろ。」
ですよねーなんて言って、部屋に入る。ベッドの上に座り、見つめ合う謎の時間。
「さてと、じゃあ結城君。好きにして。」
「好きにって…?」
「誘うんだよ結城君。もう怖いの嫌なんでしょ?ほら、自分で誘って。」
悪魔のような男だ。俺は目の前にいた皐のズボンを下ろす。そして下着に隠れるデカいモノを取り出した。手で触れて、擦る。
「結城、それじゃいつになっても終わらねーぞ。」
「わ、かってる!」
意を決して口に含む。何度もしてるけど、慣れない。勝手に涙が出てきた。先端を舐め、上下に出し入れする。
「んっ!」
いきなり尻を撫でられ、バッと後ろを振り返る。
「っ!柾斗!」
「俺の部屋なのに、俺なしで愉しむのはなしだと思うけど。ほらっ、パンツ下げるよ?」
下半身に冷たい空気がふれる。
柾斗の指が孔につぷりと入る。
「んんッ!」
「あれ、中、柔らかいね。すぐ2本入っちゃった。指3本簡単に入りそう…。結城君、もしかして、自分でシてた?」
カッと熱が込み上げる。
「そ、そんなことしてない!」
「本当に?」
…目線を逸らす。風呂に入る前、尻が疼いて仕方がなかった。思わず指を挿れてしまった。ただ、すぐにハッとして指を抜いた。あれは自慰にならない!
「ふーん。」
「な、なんだよ…。」
「やってみてよ。」
「は?」
「アナニーしてたんでしょ?ここでやってみて。」
「なっ!そんなの無理に決まってんだろ!」
「あっ、俺、用事思い出したなぁ…。」
こいつ…、俺を追い出そうとしている…。
んっとに!性格悪い!縋るように皐を見つめる。こうなったら、皐だけいればいい。
「なぁ、結城、知ってるか?エロいことしてる人間には霊って寄ってこないらしいぞ。」
「んなっ…!お前まで俺を見捨てるのか!」
「見捨ててねぇよ。ただ教えてやってんだ。お前、怖いんだろ?」
「こ、怖くない!もう、いい。分かった。部屋戻る。」
寝室から飛び出て、一人リビングへ。
電気が消えたその部屋は静かで暗い。
夏真っ只中なのに、心なしか冷気が漂う。
ピチャンーー
水の跳ねる音が聞こえた。
汗が落ち、そして肩をつかまれた。
「結城君?」
「分かった。分かったから、見捨てないでくれ…。」
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