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ホラー映画鑑賞会⑤

皐は結城の頭を撫でる。 柾斗はそれを見て微笑んだ。 「まさか、結城君がこんな怖がりだったなんてね。」 「よく言うぜ。知ってただろ。」 「そういう皐君だって、知ってたでしょ?それより、俺は皐君が結城君にまた手を出したことに驚いたな。俺が見るに、手を出さなければ結城君は1番皐君を信頼しただろうに。」 「俺が欲しいのは信頼じゃねぇ。それにモタモタあいつの信頼高めてたところで、結局お前らに快楽落ちさせられんのが目に見えてる。」 「さぁ?それはどうかなぁ?」 いや、快楽云々の話だけではない。結城は生徒会の面々と触れ合い、彼らの思いの重さに気付いてしまった。それを一心に受けているのだ。既にだれのものになっても可笑しくはない状況だった。 「俺はお前が本気にならないことに安心してるがな。」 「…それはどういうこと?」 「言葉通りだ。お前はこいつに本気じゃない。だから結城はお前を選ばない。」 柾斗は皐を見つめる。そしてゆっくりと笑う。 「俺たちに選ぶ権利はないだろ?」 皐は結城に口付ける。そして立ち上がった。 「帰る。」 「泊まっていかないの?」 「当たり前だろ。」 「結城君に手を出すかも。」 「出さねーだろ。」 「なんで?」 「お前の気持ちは結城にある。例え本気で奪いに来なくともな。」 柾斗は部屋から出ていった皐を見届け、スヤスヤと眠る結城の頬をつねった。 「俺たちには選べない。選べる立場にない。いずれ他の女の子と結婚しないといけないのに、本気で奪えるはずがない。君を愛人になんて出来るはずがないのだから…。」

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