126 / 136
夏合宿⑩
「ンッ!」
舌が入ってくる。舌と舌が絡み合い、唾液が混じり合う。その時、遠くから話し声が聞こえてきた。
近くに誰かいる。
肩を押し止めるように訴える。
「今更人の気配気にすんのかよ。あんだけ外で遊んでたくせによ。」
「ちがっ!」
「いいだろ、それに人いるって言ってんのにこんなに勃ちあがらせやがって、この淫乱。」
「これ…は、お前がキスするから…。」
「はっ、誘ってんのかよ。」
ズボンのチャックを下される。ずるりと落ちたズボンはそのまま、手をパンツの中に入れてきた。直にちんこを触られ、擦られる。
「ん゛!」
鈴とヤッてからそう時間は経っていない。いまだに敏感なそこは擦られただけで、イキそうだ。皐は俺のちんこの先端部分をクリクリと弄る。
「結城見てみろよ。」
皐が俺に濡れた手を見せてきた。
「先走りこんなに垂れ流して、気持ちいいのか?」
「やっ…、見せんなっ!」
「おらっ、後ろ向け。」
渋々木に手をついた。かちゃかちゃと金具がぶつかり合う音がしたあと、ぬぷりと尻に異物が差し込まれた。皐のちんこだ。ああ、快楽をすぐに拾ってしまう自分が恥ずかしい。ほんとに…、いいとこに当たっちゃう。
「んんっ!あぅっ!んんっ!」
出し挿れされながらも快感を得ていく。声が自然と大きくなる。しかし、皐が手で俺の口を塞いだ。
「おい、結城。いいのか?使用人いんだぞ?」
「えっ…?」
口を自分でも塞いで、耳を研ぎ澄ませる。
『早乙女様の部屋までこれを届けるように仰せつかっている。』
『はい。』
確かに使用人の声だ。早乙女がまた水着でも持って来させているんだろう。声を押し殺しながら、影を消そうと必死になる。ぱちゅぱちゅと水が跳ねる音がする。そんな小さな音さえ、誰かに届いてしまいそうで怖い。
「さつきっ…、動かない…で…。おねがっ…。」
「はっ…、ほんとに思ってんのかよ。締め付けたんぞ。」
皐のモノが前立腺を刺激した。
「あ゛!」
静かな空間に声だけが響いた。
『おい、なんか聞こえなかったか?』
『そうですか?俺は何も…。』
去っていく足音に息をついた。キッと皐を睨みつけると皐は鼻で笑っていた。
「バレたらどうすんだよ!」
「別にいいだろ。教育された使用人だしな。存外、俺たちに気を遣ってここから離れたかもしれないぞ?」
「んなっ!」
いくら楓さんの家の使用人でも男の情事を聞かされるなんていい気がしないだろう。心配になって先程まで使用人がいた方へ目を向けた。既にそこには誰もいない。明日、俺、絶対、使用人の顔見れない…。
「ンアっ!」
突然尻穴に刺激が走った。後ろを振り向くと皐がニヤリと笑っていた。
「いきなり!」
「余計なこと考えてないでこっちに集中しとけ。おらっ!」
「ん゛!さつきっ…、やめっ…。」
「もう誰もいないだろ。声抑えんな。」
「いやっ、また戻って…くるかも…。」
「安心しろ。この俺がお前のいやらしい姿他の奴に見せるわけねーだろ。」
「ヤっ!」
集団で襲っておいてどの口が言うんだ!なんて言葉を発する前に消えていった。的確に狙ってくる快楽に脳が蕩けるようだ。
外で、誰かが近くにいるかもしれない状況で、恥ずかしい話俺は感じてしまっていた。
「さ…つき…。」
「淫乱だな。」
皐は俺の顎を持ち上げキスをした。優しいキスが皐らしくてそれがなんだかあったかくて、俺は溺れた。
「あ゛…、あぁぁあ!んっ!イキそう…。」
「イけ!」
「んんん゛…ふあぁぁぁぁぁ!」
目の前の木に精液がかかった。誰かが来たらまずい、掃除しなきゃ、なんて考えながらも思考が遠くに遠くに向かっていった…。
ともだちにシェアしよう!