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「甘々な」

 目が覚めたら、啓介の腕の中に居た。  まあ。いつも通り。  ……めちゃくちゃ、してしまった。  昨日高い熱あった奴に、なんて事させてんだ、オレ……。  すぐ思った事は、それで。  ……すごい、自己嫌悪。   もぞ、と動いた瞬間、啓介が動いて、オレをのぞき込んだ。 「……雅己? 気が付いた?」 「……うん。ていうか、啓介」 「ん?」 「……具合、悪くねえ?」 「全然」  ぎゅー、と抱き締めなおしてくる啓介。 「お前が可愛えから、めっちゃ元気」  笑ってる啓介の揺れが、体に伝わってくる。 「結構めちゃくちゃしてしもたけど……平気?」 「……オレは平気……」  言うと、よしよし、と頭を撫でられて。 「――――……雅己、今日どうしたん?」 「……?」 「キスしてきたり。……してる時も、甘えてたし」 「――――……甘えてないし」 「そ?ま、ええけど。可愛かったから」 「――――……」  何と答えるべきか分かんないので、突っ込まず、そこはスルーする事にした。 「……いま何時?」 「16時位」 「んー、少ししたらご飯作ろうかなあ……」 「オレも一緒にやる」 「いいよ、寝てろよ」 「一緒にやるて」 「……元気なのか?」 「さっき証明したやん」 「……バカ」  言うと、くす、と笑う啓介に。 「雅己……」  ちゅちゅ、と頬に何度もキスされる。  もう、こいつ。 ――――……どんだけ、甘々なんだよ。 「……お前って、今までの彼女にも、こんな風にしてたの?」 「――――……」  きょとん、として。 それから、啓介は、ふ、と笑った。 「何? ……しとったら、嫌やと思うてる?」 「――――……な事いってねーし」  引き離そうと押してるオレを、むぎゅ、と抱き直した。 「……オレな、雅己」 「……」 「お前意識しながら付き合うてたから、こんな風にはしてない。OKだけして、結局ちゃんと付き合うてなかった子も居るし」 「――――……」 「……自分でも、最低やったなーと、思うてるよ」 「――――……」  何となく、何も言葉が出てこなくて、無言で聞いていると。   「……今は、ほんまに好きな奴と居るから、ずーと、こんな風にしとるけどなー……」  むぎゅむぎゅと抱き締められて、ちょっと呆れつつ。  こんな風な啓介を見てるのが、オレだけ……てことはないにしても、そんなに多くはないのかな、と思うと。  ……悪くはないかな……なんて、思ったりして。 「……ん?」  顎に触れられて、少し上向いたら、また唇が触れてくる。 「……雅己、大好きやで」 「――――……」  何度も優しくキスされて。  ぷ、と笑ってしまう。 「……キスしすぎ」  顔を少し背けるけれど、頭を押さえられて、今度は深く重なってきた。舌が触れてくる。 「――――……まさみ……」  ――――……ああ、もう。  ……なんなんだ、もう。  延々離してくれなくて。  抱き締められたまま、かなり長いこと、ベッドの上で、時間を過ごしてしまった。

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