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「やっぱり悩む……」

   一緒に夕飯を作って食べ終わって。  片付けてる間に、啓介を先にシャワーに送り出した。  しばらく経って。 「ただいまー」  言いながら、ちょうど食器を片付け終えたオレを抱き締めてくる。  ほこほこ、あったかい。 「片付けありがとな」 「うん。オレも入ってくる」 「雅己、何か飲む?入れとく」 「んー……ココア」 「りょーかい」  啓介から離れて、シャワーを浴びに向かって、服を脱ぐと。  ……うー。……分かってたけど、キスマーク、すごい。  どんだけ、あとつけるかな……。  オレのもん、て感じでめっちゃ好き。  ……て、前、言ってたな……。アホ啓介。  ……オレって。  この先ずっと、啓介と居てもいいって……思ってる、のかな。  ――――……啓介のまっすぐすぎる、言葉とか、感情とか。  あまりにまっすぐ向かってくるから……なんか……逃げ場がないまま、巻き込まれてる感じで、まともに考えたりできてない気も、してたけど。  付き合えばいいんだろ、から始まって。  今は、そのまま、啓介と付き合ってる形になってるけど。  落ち着いて考えると、オレの「恋愛」は、今でも対象が、女の子なんじゃないのかな、と思ったりも、する。  でも、啓介のことは、大事で。  友達で居た時から大好きで。  突然告白されても、気持ち悪いとか思えなかった位には―――……大好きで。  一緒にいる事になんの不都合もなくて、抱き締められたりキスされたりするのも、今は嫌じゃない。 気持ち良い事も、覚えさせられて。  啓介のことは大好き、なんだけど。  ――――……やっぱり、はっきり、分からない。    カギなんか、渡されてしまうと、余計、ちゃんと答えを出さなきゃいけない気がして。急に答えを出そうとすると、余計に分からなくなる。  どうすべき?  分かるのは。  居心地よすぎ。  楽しい。  安心する。  だから、離れたくない。  ていうのは、分かってる。んだけど。  オレ。  やっぱ。男だからな……。  そこがどうしたって、ひっかかる。  オレ達、多分。  オレは、相手が啓介じゃなかったら。  啓介は、相手がオレじゃなかったら。  ……男同士で、こんな風にしてないと、思うんだよね。  元々は、女の子と恋するものだと、オレ達、思ってたと思うし。  仲が良すぎちゃったのかな。  ――――……会った時からなんか好きで、ずっと一緒に居すぎちゃったのかもな、オレ。  今はいいけどさ。  いつかオレ、急に、女の子に好きな子出来たら、どーすんの。  啓介だって、いつかふとした瞬間に、気づくかもしれない。  女の子と付き合った方がいいって。  どっちかがそうなった時。オレ達、どうするんだろう。  ――――…… そこ考えてると、分かんなくなる。  合鍵なんて、貰っていいのかな。  このまま、突き進んで。……ほんとに、いいのかなあ。  悩むー …………。  悩みながらも、現実は、体にいっぱいキスマークついてて。  ……ああ、もう。     体と心の状態が合ってなくて、困る……。

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