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「安心」

「……やっぱりちゃんと寝てないとだめだったよな……。もう、早く寝ろよ」 「別にこれくらい平気やて。ココア飲んだら、寝るから」 「じゃ早く飲めよ」 「……普通に飲ませてや」  啓介はぷ、と笑う。 「――――……心配してくれるん、嬉しいけど。平気やて」 「……オレも一緒に寝るから」  言うと、すぐに、ふ、と笑う気配。  後ろから、ぎゅー、と抱き締められる。 「……お前さ」 「ん?」 「……こういうの…… ほんと好きな」 「こういうのって?」 「……くっつくの」 「雅己にくっつくのは好きやで」 「――――……」  答えないオレに、クスッと笑って、またぎゅ、と抱き締めてくる。 「――――……雅己」 「うん」 「……好きやで?」  うしろから、ちゅ、と頬にキスされる。 「――――……うん……」  頷くと。啓介は、ふ、と笑った。 「うん、て言うの、珍しぃな?」 「――……ん」  ――――……啓介が今、オレを好きだって、いうのは、分かる。  じゃあ。  オレは――――……?  後ろの啓介を見上げると。  また、ちゅ、と頬にキスされた。 「――――……啓介……しすぎ」 「嫌ならせえへんよ」 「……オレが嫌がってないと、思ってる?」 「――――……さあ。分からんけど…… 嫌?」 「――――……さあ」  啓介は、くす、と笑って。  また、頬にキスしてくる。 「だから――――……」  言いかけて、黙って。  もういいや。  なんとなく、そう思って。  抱きこまれてる背中を、啓介に少し預けた。  すぐ、前に回ってる腕の力がより強くなって、抱き寄せられて。  なんで、男同士で、こんな密着して、過ごしてるのかな……。  なんて思いながらも。  あったかくて、安心するのは確かで。  その腕の中でココアを飲みながら。微笑んでしまう自分が。  すごく、不思議なんだけど……。  悪くは、ないなと、思ってる。 ◇ ◇ ◇ ◇  2人で、ベッドに入って。すぐに後ろから、抱き寄せられた。 「――――……まだ21時やけど。お前ええの?」 「……うん、たまにはいい」  啓介が、ふ、と笑う気配。  電気が消されて、目を閉じる。 「――――……やっぱ、少し熱い、お前」 「……そう?」  抱き締められて触れてる体が、熱い。 「――――……明日も学校休みだな……」 「……平気やけど」 「……無理しない方がいいだろ」 「――――……雅己、また皆に聞かれるんかな、 啓介は?って?」 「……聞かれるかもな……」  クスクス笑う啓介。   「――――……雅己が休んでも、オレが聞かれるんかな」 「……そうなんじゃねえ?」  確かに、オレらって、ずっと、一緒に居るもんな……。 「……何かあったかくて、眠くなってきた……」 「――――……ええよ、おやすみ……」  すっぽり抱きしめられて寝るのも――――……。  なんかもう、慣れてしまった。  あったかくて。優しい。 「――――……こんなにベッドで密着して何もせえへんって……」 「……黙れ」  途中で即座に突っ込むと。ぷ、と笑いながら。 「せやかて、こんなにくっついてると――――……」 「つか、お前が勝手にくっついてきたんじゃんか、変な事する気なら、離れろよっ」 「……っ……」  可笑しそうに笑ってる、啓介の揺れが背中に伝わってきて。 「――――……我慢するわ……」 「……我慢て……」 「ん?」 「さっきもしたじゃん……我慢する必要ある?」 「めっちゃ我慢やけど?」 「――――……っ……バカ啓介……」 「嘘や嘘、暴れんといて」  引きはがそうと暴れ出したオレの抵抗を抑え、また抱き直して、クスクス笑う。 「――――……雅己、大好きやで?」 「……バカ啓介。変態。エロ魔人……」 「……何やそれ……」  ……相変わらず。ケダモノだな、うん。  ――――……でも今日のは、オレが誘った……みたいな……。  でもあれは、もとは、キスして欲しかっただけ、なんだけど……。  ――――……良いって、言っちゃったしな……。  でもって、啓介熱ぶり返すという……。  ……オレも啓介も、バカだなぁ。    ふ、と苦笑いして。  そのまま、ゆっくり、瞳を閉じた。

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