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「結構好き」

  「――――……けいすけ……」 「ん?」 「寝ようと思ったのに……なんか背中、お前に触ってるとこがあつい……」 「――――……」  啓介が、ぷ、と笑う。 「熱くて、やだっちゅーなら離れるけど……」 「――――……やじゃないけど……」  もぞもぞ動いて、体を反転。  啓介の胸元に、もぐりこんだ。 「これでいいや――――……このまま寝る……」 「……余計触りたなるんやけど」 「……だめ」 「……生殺しやない? これ」  ぎゅ、と抱き締めてきた啓介の体が笑って、揺れるのが、伝わってくる。 「だから……密着すると熱いって……」 「いや?」 「……もーいーけど……」  そう言うと。啓介がふ、と笑った。 「……ほんま、お前、可愛えな……」  頭を思い切りナデナデされる。 「……啓介」 「ん?」 「あの――――……鍵、さ」 「……ああ、何や?」 「……とりあえず……預かっとくっていうんでも……いい?」  そう聞いたら。  啓介は、一瞬黙って。それから、くす、と笑った。 「――――……もちろんええよ」 「……ん」 「……いつでも雅己のにしてくれてええよ。オレは、な」 「……ん……」  頷いて。少し啓介を見上げた。  電気は消えてるけど、カーテンの隙間から入る光で、顔は見える。 「――――……ごめんな」 「……何で謝るん?」 「――――……なんとなく」 「ええよ、謝らんで。オレは現状、満足やし」 「――――……」 「オレ、好きやて言うて、受け入れてもらって終わりなんて思うてないって言うたやん? オレにとってはこっからやし。 お前が、こういう風にするの嫌がってないだけで、満足。 もっと一緒に居たいって思て、一緒に暮らそう言うてるんは、オレの我儘やから」 「――――……」 「オレは自分の我儘でお前誘うけど――――……雅己は雅己で考えて、好きにしてええよ」 「――――……」 「わかった?」 「……うん」 「――――……こんな風に、お前と居れるん、ちょっと前のオレからしたら、ほんま夢みたいなことやしなー……」 「――――……」  オレを抱き締めてる啓介を、じ、と見つめた。 「――――……けいすけ」 「ん?」 「……オレ――――…… お前のそばに居んのは……」 「――――……」 「……結構、好きだからな……」 「――――……」  言った瞬間、むぎゅっと抱き締められた。 「……抱くけど。んな可愛ぇこと言うてると」 「だめ。もう、今日は絶対だめだから」 「……あかんなら何でそんなこと言うんや」 「――――……とりあえず今のオレの思うのは、これだから、言っただけ」 「――――……」 「あとはまだ分かんない」  言ったら、啓介は、ふ、と笑って抱き締めてきた、 「よう分かった。 ありがとうな」 「うん……――――……早く、寝ようぜ、啓介……」 「ん。……おやすみ、雅己」  ちゅ、と頬にキスされる。 「何でさっきからずっと、口にしねえの? 顔ばっか……」 「……今熱あるから。なんとなくやけど」 「――――……昼間あんなにしといて意味ねえと思うけど」 「――――……けど、キスしたら、その後続くで?」 「――――……アホかよ。寝ろ」  言ってから。啓介の唇に、一瞬だけ、キスした。 「――――……おやすみ、啓介」 「せやから何でそういうことすんねや……」  言うと、ぎゅ、とオレを抱き締めてから。  啓介は、はー、と息をついた。 「……もうほんま、今日で治す」 「……頑張れー」  ぷ、と笑って、目を閉じた。

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