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「別れたわけじゃ」

 その授業が終わって、今日の授業は終了。  皆それぞれ立ち上がり、次の授業がある奴は向かい、帰る奴らは、何となく近くに居る奴らと歩き出す。  今日は、この後、啓介と、どうするかは、決めてなかった。  啓介と、こんな関係になる前は、確かに授業は一緒には居たけれど、啓介は女の子と消えることもあったし、オレも、色んな奴らと、ゲーセンとかカラオケに行ったり、ご飯を食べに行ったり。  帰りはバラバラの事も多かった。  毎日約束する訳ではなく、お互い気が向けば、一緒に帰って、遊ぶ。そんな感じ、だった。  こんな風な関係になって、啓介の家にひょいひょい連れ帰られるようになってからは、なんとなく他の奴とは、先に約束したりは、しなくなったけど。  昨日は、一緒に誘われたのに、啓介は断って帰ってしまったし。  ……なんか、読めないな。  ……今日はどうすんだろ。  なんとなく思いながら、荷物を片付けて、立ち上がる。隣に居た奴と、歩き出して教室を出ながらも、すぐ後ろに啓介が他の奴と話しながらついてきてる事は確認。  ……ていうかさ。  ――――……そういう事をしなくなっただけで、  別れた、て訳じゃないんだけど。  じゃあ一緒に、 居るのかな……。  ……ん?  そういうこと、しなくなったら、  付き合ってるって、言えなくなんのか??  ………んー……?    そうだよな。  ……あんだけ、そういう事する奴に、触るなて言い続けたら……。  結局そういう事に、なるのかな。  もともと、オレ男だし。   ……オレとそういう事をしないって事になったら。  きっと、また女の子と、するようになるんだよな。  そしたら、きっと、オレとのこういう関係は、終わることになって。  ……そしたら、友達に、戻れるのかな。  ――――……したくないって、お願いして。  ……4日目。か。   何だか、何とも言えない気持ちになってて、横の友達の言葉が、ちゃんと頭に入ってこない。  どうしようかな……。 「雅己」  後ろに居た啓介に、ぐい、と腕を引かれた。 「え。あ……」  引かれて、少し下がって、立ち止まる。  オレや啓介と一緒に歩いていた皆はちょっと振り返って。  まあ2人で用事でもあるんだろうという顔で、じゃあなーと手を振って、そのまま歩いていってしまった。 「……啓介、なに?」 「――――……今日どないする?」  立ち止まったのが廊下のど真ん中なので、少し端に寄って、啓介を見上げると、もう一度聞かれた。 「……どっちに帰るん?」 「でもオレ……明日の授業の用意、してきてない」 「……取りに行ってもええし。 ……そんなどーにでもできる事、聞いてるんちゃうし」 「――――……」 「どーしたい?」  もう一度聞かれて。 「……啓介は?」 「オレ?」  そういう事、しなくても。  ……オレと、居たいのかな。 「――――……オレがお前に、聞いてるんやけどな……」  啓介が苦笑い。

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