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「ずっと」

「オレは雅己の事ずっと好きやて思うてたし。お前に会うてからは4年目やけど……今までで、こんなに好きなのお前だけやし……」 「――――……」 「こんなに好きやのに、なんでそんな不安にさせてんのやろな、オレ……」 「………」  じー、と、啓介がオレを見つめる。 「……不安に思わせるような事、オレ、しとる?」 「――――……」  少し首を傾げながら、聞かれて。  じっと、その瞳を見つめながら、考える。  ……不安に思わせるような事………… 啓介は、してない。 「しとるなら、すぐ直すけど」 「……してない」  そう答えると、そっかと頷いて、啓介は少し考えてから。 「……何でオレがお前好きか分からんて、お前、言うたよな」 「……うん」 「オレいつも言うとると思うんやけどなあ……」  しばらく、視線を外して、うーん、と唸ってから。  あ、せや。と笑って、啓介がオレを見つめ直した。 「今から、好きなとこ全部言うてくから、黙って聞いとけや。おかしな茶々入れたら――――………せやな。……エンドレスで、イかせるから」 「……っ……」  急に、なんて事言うんだ。  どん引きしてると。  啓介は、ぷ、と、笑いながら、オレを見た。 「好きなとこな。見た目、好きやで。あと、抱いてると、めっちゃ相性ええなーて思うから、お前抱くの、めっちゃ好き。声も好きやし」 「――――……」  見つめたまま、啓介が並べていく。 「しゃべり方も、笑ろた顔も、怒っとる顔も好き。恥ずかしがってんのも好き。たまに落ち込んでるのも可愛えし」 「――――……」  ……どんどん恥ずかしくなってくる。 「背の高さもキスしやすいし、抱き締めやすいし、好き。お前の瞳も、好き。バスケしとるとこも好き。皆と楽しそうに笑ろてんのも好き。……むかつくけど、色んな奴に頭なでられたりするようなとこも、好きやし」 「――――……」 「キスしてる時、舌がすぐ逃げてくのも可愛え。捕まえてめっちゃキスして、逃げられなくすんの好き。お前の食べ方も好き。洗濯物たたむとき、やたら丁寧なんも好き。お前が先に起きた時、オレを起こさないようにちっちゃく動いてんのも可愛え。オレにドライヤーされて、幸せそうにぼーっとしてんのも、好き」  ……っ……これ、止めたら、ダメなの?  ……エンドレス……になっちゃうのか? ……止めたい。 「オレが本読んでる時、背中によっかかってくるのも好き。風呂一緒に入るの恥ずかしがるのも可愛えし。お前と並んで歩くのも好き」 「――――……」  どんだけ、続けんの。これ。  ……もう、無理。オレ。 「オレと一緒に――――……?」  続けようと口を開いた啓介の首に手を回して。  ぐい、と引いて。  その唇に、キスして、塞いだ。 「……何。もっと言いたいんやけど」  少し唇離されて、そんな風に言われる。  オレは、プルプルと、首を振って見せた。 「――――……もう、良い。恥ずかしいっつの……」 「――――……」  オレの言葉に不満そうに黙ってた啓介は。 「……納得したん? オレ、お前好きなとこ、ほんま、いっぱいあるけど。出なくなるまでずーっと言うけど……」 「……もう……いいよ…… 分かった、から……」  言うと、クスクス笑って、啓介はオレの頬に触れた。 「――――……毎日、好きやなて思うて一緒に居んのに、居なくなるとか、なんで思うん?」 「――――……」 「一緒に暮らそうて言うてる時点で分かるやろ、ずっと一緒に居るつもりやて。すぐ切れてええ奴に一緒に暮らそうなんて、言わないと思わん? 鍵なんて渡す訳ないやろが」  抱き寄せられて、至近距離で、見つめられる。 「――――……ずっと、オレと居って、雅己」 「――――……」 「……そしたら、その内、嫌でも分かると思うし」  啓介の瞳が、優しく、緩む。  何も。  否定する、言葉が、出てこない。  何も。 「――――…………啓介」  オレ。    なんかもう……この先、ずっと。  お前が良い、かも……。   「……お前と一緒に、居る……」  啓介の首に手をかけて、ぐい、と引いて。  深く。 唇を重ねた。

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