74 / 244
「ずっと」
「オレは雅己の事ずっと好きやて思うてたし。お前に会うてからは4年目やけど……今までで、こんなに好きなのお前だけやし……」
「――――……」
「こんなに好きやのに、なんでそんな不安にさせてんのやろな、オレ……」
「………」
じー、と、啓介がオレを見つめる。
「……不安に思わせるような事、オレ、しとる?」
「――――……」
少し首を傾げながら、聞かれて。
じっと、その瞳を見つめながら、考える。
……不安に思わせるような事………… 啓介は、してない。
「しとるなら、すぐ直すけど」
「……してない」
そう答えると、そっかと頷いて、啓介は少し考えてから。
「……何でオレがお前好きか分からんて、お前、言うたよな」
「……うん」
「オレいつも言うとると思うんやけどなあ……」
しばらく、視線を外して、うーん、と唸ってから。
あ、せや。と笑って、啓介がオレを見つめ直した。
「今から、好きなとこ全部言うてくから、黙って聞いとけや。おかしな茶々入れたら――――………せやな。……エンドレスで、イかせるから」
「……っ……」
急に、なんて事言うんだ。
どん引きしてると。
啓介は、ぷ、と、笑いながら、オレを見た。
「好きなとこな。見た目、好きやで。あと、抱いてると、めっちゃ相性ええなーて思うから、お前抱くの、めっちゃ好き。声も好きやし」
「――――……」
見つめたまま、啓介が並べていく。
「しゃべり方も、笑ろた顔も、怒っとる顔も好き。恥ずかしがってんのも好き。たまに落ち込んでるのも可愛えし」
「――――……」
……どんどん恥ずかしくなってくる。
「背の高さもキスしやすいし、抱き締めやすいし、好き。お前の瞳も、好き。バスケしとるとこも好き。皆と楽しそうに笑ろてんのも好き。……むかつくけど、色んな奴に頭なでられたりするようなとこも、好きやし」
「――――……」
「キスしてる時、舌がすぐ逃げてくのも可愛え。捕まえてめっちゃキスして、逃げられなくすんの好き。お前の食べ方も好き。洗濯物たたむとき、やたら丁寧なんも好き。お前が先に起きた時、オレを起こさないようにちっちゃく動いてんのも可愛え。オレにドライヤーされて、幸せそうにぼーっとしてんのも、好き」
……っ……これ、止めたら、ダメなの?
……エンドレス……になっちゃうのか? ……止めたい。
「オレが本読んでる時、背中によっかかってくるのも好き。風呂一緒に入るの恥ずかしがるのも可愛えし。お前と並んで歩くのも好き」
「――――……」
どんだけ、続けんの。これ。
……もう、無理。オレ。
「オレと一緒に――――……?」
続けようと口を開いた啓介の首に手を回して。
ぐい、と引いて。
その唇に、キスして、塞いだ。
「……何。もっと言いたいんやけど」
少し唇離されて、そんな風に言われる。
オレは、プルプルと、首を振って見せた。
「――――……もう、良い。恥ずかしいっつの……」
「――――……」
オレの言葉に不満そうに黙ってた啓介は。
「……納得したん? オレ、お前好きなとこ、ほんま、いっぱいあるけど。出なくなるまでずーっと言うけど……」
「……もう……いいよ…… 分かった、から……」
言うと、クスクス笑って、啓介はオレの頬に触れた。
「――――……毎日、好きやなて思うて一緒に居んのに、居なくなるとか、なんで思うん?」
「――――……」
「一緒に暮らそうて言うてる時点で分かるやろ、ずっと一緒に居るつもりやて。すぐ切れてええ奴に一緒に暮らそうなんて、言わないと思わん? 鍵なんて渡す訳ないやろが」
抱き寄せられて、至近距離で、見つめられる。
「――――……ずっと、オレと居って、雅己」
「――――……」
「……そしたら、その内、嫌でも分かると思うし」
啓介の瞳が、優しく、緩む。
何も。
否定する、言葉が、出てこない。
何も。
「――――…………啓介」
オレ。
なんかもう……この先、ずっと。
お前が良い、かも……。
「……お前と一緒に、居る……」
啓介の首に手をかけて、ぐい、と引いて。
深く。 唇を重ねた。
ともだちにシェアしよう!