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「密着」

 啓介にぐいと引かれて、気づいた時には、啓介の腕の中。  背中には、啓介の胸。後ろから、きつく、抱き締められていた。  っ密着感、すごすぎ……。   「ええよ、寝て」  ……こんなべったり張り付かれてると、恥ずかしくて寝れる気がしない……。  ……ついさっきまでもっとすごい事してたけど……。  あれはあれでくっつかないとできないから、しょうがないけど……。  寝るのにこんなに密着しなくても……。こんなんじゃ……。  胸の前で組まれてる啓介の手が、する、と胸に触れた。 「めっちゃドクドクしてる?」 「……っ……っくっつきすぎなんだよ」 「……はは。……可愛ぇ、雅己」  またぎゅ、と抱き締められる。 「――――……こっちまで照れるし……」  クスクス笑って、啓介がそんな事を言う。 「……少し離して」 「……無理や」 「……暑いし」 「無理やて」 「……苦しいし」 「――――……」    ふ、と息をついた啓介に腕を取られて、くるん、とひっくり返されて。  今度は、完全腕枕の状態で、抱き寄せられた。 「……っ」 「――――……おやすみ……」  額にキスしてきた啓介に見つめられる。 「……っ……」  こっちのが、顔見られてて、恥ずいし……。 「――――…… っ」  反応してると長くなる。  ……もう寝よ。  目をつむって少し啓介に近付いて、真正面で見つめてくる視線からは隠れた。オレの頭を抱え込んでるみたいにしてた手が、よしよし、と頭を撫でてくる。  優しい手つきに、あっという間に、うとうとして。  啓介の腕のなかで、 眠ってしまった。

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