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「目覚めると」

「雅己……雅己?」  優しい声がして、優しい手が、頭を撫でる。 「――――……ん……?」  ゆっくり目を開けると、啓介が立ってて、オレをのぞき込んで、ふ、と笑った。 「はよ」  頬に、ちゅ、とキスされる。  ……だるくて。動けない。 「……ん……啓介、何時……?」 「7時」  言いながら、啓介が、カーテンを開ける。 「シャワー浴びるやろ?」 「……ん……」  浴びたいけど…… だるすぎる。  ――――……動けない……。  啓介を見ると、もうすっかり、着替え終わって、すっきり目覚めてる感じ。 「……もうシャワー、浴びた……?」 「ん、先浴びた」 「――――……元気だね……啓介……」  思わずそう言うと、啓介がぷっと笑って、ベッドの端に腰かけた。  手が伸びてきて、また、頭を撫でられる。 「……昨日無理したから、お前は、しゃあないな……」  よしよし、と撫でられて。  ……昨日無理した、の一言に、昨日の事を思い出して。 「……っ……」  ごろんと転がって、枕に突っ伏した。  そのまま、沈んだまま起き上がれない。  そしたら、頭の横でギシ、と音が鳴って。  ふわ、とシャンプーの香りがする位、近づいてきて。  啓介がうなじに、キスしてきた。 「――――……っ……」  ちゅ、と吸いつかれて。  びく、と体が揺れた。 「――――……っ……啓介……」  吸い付かれたそこを手で押さえて、がば、と起き上がる。  真っ赤になった、と思う。  啓介は、クッと笑って。くしゃくしゃ、と髪を撫でてきた。 「シャワー浴びて来いや。朝用意しとくから」  クスクス笑いながら、啓介が出て行った。  ……つか。  ――――……ほんとに……。  なんな訳。  ………ベタベタに甘すぎ……。 「――――……っ……」  朝からついていけない……。  今まで、加減してたのかな……。  ……してるとは、思ってなかったけど……。  ゆっくり起きて。  バスルームに行って。シャワーで目覚める。  ――――………。  なんか。   オレ。  昨日、完全に……自分の気持を、認めたというか。  ……啓介を、受け入れた、というか。  ――――……やけくそで、もう分かった、とかじゃなくて。  ちゃんと、啓介と。付き合う事に、したんだ、よな。  うわ……。  ……はずかしすぎ……。  ……何でこんな事になったんだろ。  どう考えたって、啓介は、大好きな、ただの、友達。だったのに。  悩みながらバスルームを出て、タオルで拭いてから、服を着た。  髪の水滴を拭きながら。鏡の前に立つ。 「――――……」  なんか。  惚けた顔、してる気がする。  ぴしぴし、と頬を叩いて、引き締める。  うー……。  ……あんま、オレを、甘やかさないでほしい、かも……。

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