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「良かった」
「……ん――――……」
最初、触れるだけだったのに。すぐに、激しすぎるキス。
熱い舌が、絡んで、口の中をなぞって――――……。
「ん……っ……ぅ」
顎、押さえられて、より深くなる。
「……っんン……っ……」
うー……舌、入りすぎ…… ゾクゾク、しちゃうし……。
「啓介、もう……」
離そうと思って、胸に手を置いて力を入れるけど。
うなじのあたりを、大きい手に固定されて、啓介が覆いかぶさってくる。
「……っ……ん、んっ……!」
漏れる声は、もはや、喘ぎじゃなくて、抗議だ。
分かれー啓介―!
「――――……んぅ……! ……っぅ……っ……」
でも、抗議、長くは続かない。
「……っふ……っ……」
舌吸われて、ぎゅうっと瞳を閉じた時。
ふ、と笑んだ気配がして、最後に優しく、唇が触れた。
「――――……はー。ベッド、連れ込みたい」
「……っ……っ」
ぎゅーっと抱き締められて、そんな風に言われて、真っ赤になる、オレ。
啓介は、くっと、笑って。
「――――……後のお楽しみやな」
「……っ」
「昼食べて、早よ全部片づけて、シャワー浴びて、で、引っ越し祝いしてから、やな」
ぴた、と唇に指をあてられて。そこから、まっすぐ。
首からまっすぐ下になぞられて。下腹部からさらに下まで、つ、と触れた。
びく!と震えて、咄嗟に、腰を引く。
「……夜まで我慢な?」
くす、と笑った啓介の唇が、耳に触れて、ちゅ、と音を立てる。
「っ!!」
とどめとばかりのその行為にぞくっとして、真っ赤になったオレは。
「っ我慢じゃねーよ! 変態!!! エロ魔人!!! 最低!! エロエロ!!」
めいっぱい、叫んだ。
啓介は、ものすごく可笑しそうに笑いながら、「蕎麦があるから、引っ越し蕎麦にしよーなー」とか言って、部屋を出てった。
……つか、オレ。最後の、エロエロって、何だ。
……くそ。なんかアホみたいで悔しい。
語彙がなくなっちゃうんだよな、こういう時。
「雅己、蕎麦は茹でるけど、あと何食べる?」
全然平気な顔して戻ってきて、そんな風に聞いてくる。
ジロ、と睨むと、啓介は。
「あ、まだ怒ってたん? つか、顔赤い」
クスクス笑いながらまた近づいてきて、オレの、頬に触れた。
「あっつ……」
クスクス笑いながら、すぽ、と抱き締めてくる。
「べつにオレからかっとるんやないよ。ほんまにベッドに連れこみたいし。でもひっこしは終わらせたいやろうし、昼も食べないと。てことで、我慢してるっちゅー話」
「……セリフと行動が、恥ずかしいんだよっ」
「ああ……」
啓介はクスクス笑って、また、指を、つ、と顎に乗せた。
「これ?」
「――――……っっ」
「――――……そういう可愛ぇ反応するからいけないんやで?」
クスクス笑う啓介。
「可愛ぇんやもんなー……」
肩を抱かれて、ポンポンされながら笑われる。
「んで? 昼は? 蕎麦と何がええ?」
優しい笑顔で見下ろされて。ふ、と息をついた。
「……何がある?」
「んー……冷凍の天ぷらならある」
「何の天ぷら?」
「かきあげ」
「あ、じゃあもうそれでいい」
「ん。じゃあ準備しよ」
「うん」
2人でキッチンに向かって、一緒に昼食を作り始める。
色んな事、話しながら。
やっぱり。
……こういうのをずっと啓介としてたいから。
来て良かった、なあ。
……恥ずかしいのだけどーにかしてくれたらいいけど。
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