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「伝えない」※

 くる、と啓介に背を向けて、とりあえずガードの為にも下着を履く。  後ろでくすくす笑ってた啓介は、オレが下着を履いた瞬間。 「ちょお、じっとしてて」 「……は? なんで」 「背中のラインめっちゃ綺麗――――……舐めたい」 「は? やだよ、なに……ひゃっ……!」  背筋の真ん中に、ぞわぞわっとした感覚。  うわ、ほんとに、舐めた。  感覚強すぎて、背筋がぴん、として、硬直。 「いや、だ、それ――――……」  つ、と上まで舐められて、首筋に舌が這って、びくんと震える。  顎が捕らえられて、後ろ向かされて。そのまま深くキスされる。 「……っん、ぅ……っ……は……っ」  やだやだ。背筋舐められた感覚、まだ全身に残ってるのに。  息できないわ、ゾクゾクしすぎて辛いわ、  結局ぐったりする位、キスされて。   「――――……下触ろうか?」 「……っ……」  もうなんか――――…… さっきまでさんざんされてたのに。  なんで反応するんだ…… ていうか、反応するわ、こんなの!  もう、啓介の、 バカ。アホ! 変態!! 変態!!!! 「……口でしよか?」 「――――……っ……」 「嫌言わへんなら、してまうよ」 「……っ……」  嫌だけど。  ……おさまんないし。  ………でも嫌だけど。 「――――……ん、わーた」  返事をしないのを了解と取った啓介に、壁に背をつかされて。  クス、と笑った啓介が、膝をついた。 「――――……っ……」  熱い口内に包まれて。  くらくらするような快感の中で、呆気なく、達してしまった。  とんでもない事に、それを飲んだ啓介に、どん引きして一気に血の気が引いたオレは。  もう絶対やだ、絶対、お前、嫌い、もう触んないで、と、  めちゃくちゃ、キレて。  結構な時間、風呂場ですったもんだ。    ――――…… ていうか、一方的にオレが怒ってて、啓介は笑ってたけど。  せっかくシャワー浴びたのに、めちゃくちゃ汗ばんでしまったオレは、もう一度、シャワーを浴びる事にして。  それはそれはもう、めっちゃくちゃ、怒りながら。  啓介に新しいバスタオルを用意させて。  絶対リビングで待ってる事を約束させたから、2回目は、ちゃんと服を着て、リビングにたどり着けたけど。  ………疲れた。もう。ほんとに。  リビングでオレを迎えた、超楽しそうな啓介をすっごく睨んでしまう。でも、よしよし、と撫でられて、怒らんで、とキスされると。  ……なんか怒ってるのも面倒になるというか。  優しく笑まれると、許してしまうというか。  ……何かもうオレ、完全に、思うままで、もーダメかもしれない……。    と、密かに思いながら。  これは調子に乗るから絶対伝えないもんね。  と、誓った。

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