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「昔の思い出」
色々啓介のセリフを聞いてたら、思い出した。
確かに、そういう事、よく言ってた気がする。
……だって、オレ、高校ん時、啓介の事が、大好きだった。
引っ越してきて、少し遅れてバスケ部入ってくれて、一緒に居るようになったら。大阪弁がなんか聞き心地が良くて、喋ってるだけでも楽しかったし。
啓介の話し方とか。優しいとこ、とか好きだったし。
バスケしててもすごく気が合う感じ。言わなくても伝わる。啓介とプレイするの、楽しくてしょうがなかった。
1年も2年も、クラスが違ったのに、なんかちょこちょこ覗きに行って。絡みに行った。
――――……啓介に彼女が出来たって聞いたら、休み時間とかは彼女が居たりするから行かなくなって。 だから別れたって聞くと、なんか嬉しかったりして。啓介、彼女なんか作らなきゃいいのに、もっと遊びたいのに、て。思ってて。
まあ、確かに、どんだけ啓介の事が好きなのかなー、とは思ってた。
3年になったら、同じクラスになって。
一緒に勉強したり、してたっけ。
附属校とは言え、成績悪いとダメだからって勉強の為なのか、啓介の彼女つくるのもちょっとペースが落ちてたし。だから、余計にずっと、一緒に居た。
ほんとに、長い時間、啓介とずっと居たのに、喧嘩する事もなくて。ずっと居心地良くて。ほんと、好きだった。
………でも、それは、ほんとに、完全に、友達としての好き、で。
思った事、普通に言えてたのは、別に、意識してなかったからだし。
……とか言っちゃうと、今言えないのが、意識してるからだって、暴露してるようで、それも恥ずかしいしな……。
どっちにしても、オレ、結構恥ずかしい事、啓介にすごく言ってる気がしてきたな。
「――――……色々言ってたのは思い出してきたけど」
「うん」
「……だって、完全に友達だったし。 言えるだろ、普通に」
「――――……まあ、お前は、そうやったんやろうな」
と、啓介は、苦笑い。
「……けど、オレには、めっちゃ、試練やったけどな」
「……試練?」
「試練やろ――――…… 大好き、みたいな事、大好きな奴が、ニコニコしながら言うんやで?」
ふー、と息をついて。啓介がまっすぐオレを見つめる。
「……なんか……ごめん…… ていうのも変だけど」
ぷ、と啓介が笑う。
「……謝る事ではないんやけどな」
くす、と笑って、ゆっくり近づいてきて。
唇が――――……重なる。
「……オレが、何回、キスしたいの我慢したか、知らんやろ」
「――――……」
「まあオレも数えてへんから、何回かは分からんけど……」
冗談ぽく言って、クスクス笑う啓介。
「……キスしたいて思うたら、こうして、出来るし、まあもう今となっては、笑える思い出なんやけど」
「――――……」
「……――――……ほんま、お前が好き」
ちゅ、とキスされる。
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