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「一番好き」

「……ほんま、お前、かわえぇなー……」  唇の間で、言われて、何度もキスされる。  途中で、より抱き込まれて、密着させられて、口づけられる。 「……っん……」  啓介とするキスは。  好き、と、めちゃくちゃ言われてるみたいで。  間に見つめてくる瞳も。  触れて来る手も、優しすぎて。  ほんと。  もう、なすが儘になって、困る位。 「――――……午前中もうちょっと勉強するんだよね?」 「……せやな」 「じゃここまで、にしよ?」  最後、の意味を込めて、オレから啓介に一度キスして、離れた。 「これ以上してたら、勉強できなくなるし」 「――――……」  啓介はオレの言葉に、苦笑いを浮かべて。せやな、と呟いてる。 「……図書館でも行くか?」 「ん?」 「ちょお気分転換。2人で居ると触ってまうし」  触ってまうって……。  密かに苦笑しながら。 「いいよ。ちょっと歩きたいし」  ということで、紅茶を飲み終えたら準備をして、近所の図書館に来た。  歩いて15分。駅の近くにある事は知っていたけれど、来るのは初めて。  公民館などがある建物の地下が図書館になっていた。  中は広くて、静かで。結構人が居るわりに、机や椅子も多いので、空いて見える。 「なんか、雰囲気違うね。緊張する」 「緊張……」  ぷ、と啓介が笑う。 「静かに勉強しよ」 「うん」  向かい合って座って、勉強開始。  おお、なんかすごい捗るぞ。図書館万歳。  啓介にも邪魔されないし。なんて心の中で可笑しく思いながら進める。  そのまま、話もせず、結構な時間が経過。  ある程度きりが良い所までいった所で、ふと集中が途切れた。  でもまだ啓介は集中してるから。静かにしとこうと、頬杖をつきつつ、片手で、シャーペンをくるくる回し始めた。  ……目の前の啓介を、視線だけあげて、ふと見つめる。  ――――……カッコいい。よなあ。  下むいてる、その伏せた感じの角度も、なんか、すげーイイ気がする。  初めて見た時から、イケメンだなーなんて思ってたけど。  年とるにつれて、大人っぽくなって。ますます、「良い男」化してる。  啓介と居れば何でも大丈夫みたいな。安心感もあるし。  ほんと。オレと恋人とか。何でかなってまだ思うけど。   でも、啓介がオレを好きって言ってくれてるのはほんとだと思うし。  オレが啓介を好きなのも、ほんとだから。  認めてしまえば。  ――――……なんかこんな涼しい顔してる奴が。  めちゃくちゃ甘々で、優しくて……キスばっか、してきて。  とか。  それをオレしか知らないのとか。  ……ちょっと嬉しいなとか思ってしまう部分も、多々あって。  なんかオレ。めちゃくちゃ、啓介の事好きみたい。  まあ。……高校ん時から、一番、好きではあったから。  ちょっと種類が変わっただけで。  一番好き、なのに、変わりはないんだよなあ……。  高校で会ってから、オレの「一番好き」は、ずっと啓介だったかも。

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