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「再確認」
「ね、見て、あの人カッコイイ」
「あ、ほんと♪ いい感じ♪」
背後の席からそんな風なヒソヒソ声を聞きながら。
7人目に視線を向けると。
「――――……」
あ。啓介だ。
――――……この子達が言ってんのはあいつの事か……。
ほんと。……女受けの良い奴。
……まあ、ね。
カッコイイとは、思うけど。
何となく緑に隠れて見ていると、ウエイトレスの女の子が啓介に話しかけた。
なんか、あの店員の女の子、さっきまでの客に対する対応と、違うと思うんだけど。声が一段階高い気がする。
その案内を断って、啓介がまたきょろ、と店内を見渡してる。
「――――……」
あ、だめだ。
――――……やっぱり。
「啓介」
椅子から立ち上がって声を出すと、啓介はくる、と振り返った。
オレの姿をみとめると、嬉しそうに笑った。
ドキ、と胸が騒ぐ。
「すまんな、待たせて」
「全然。美味しかったし。本も読めたし」
「何飲んだん?」
「アイスオレに、バニラアイスが浮かんでるやつ」
言うと、啓介はぷっと笑った。
「よう1人でそんな可愛ぇもん、頼めるな……」
クスクス笑われる。
「美味しかったよ」
答えると、「そかそか」とあやされる。
――――……ああ、駄目だ。
オレやっぱり。なんかよく、分かんないけど。
――――……お前の事が、好きみたい。
だって、すげえ。
……キスしたいって、今思ってる。
「啓介、なんか飲む?」
「あー今別にええわ。帰ろうや」
「ん」
店を出て、2人で歩き始めた。
キスしたいとか。触れてほしいとか。
その先も、別に自然の流れで進むなら、全然良いし。ていうか。
……嬉しいし。
そういう意味の好きで、付き合おうと思ったの。
友達でいられなかったのって。
――――……きっと、こういう事、だよな……。
これが、他の男に対する気持ちと、啓介への想いとの、違い。
今は、女の子に対しても、そういうの思わないし。
……どんだけ、オレ、こいつのこと――――……。
「どした?何笑ろてんの?」
「……別に」
ふ、と笑ってしまう。
今日はマンション帰ったら、オレから仕掛けよう。
たまにオレからキスしてやると、すごい、嬉しそうだから。
「寂しかったん? 一人で待っとんの」
クスクス笑う啓介に、「全然」と告げる。「あ、そ」と苦笑いする啓介。
「今更な事、再確認してたから、楽しかった」
「ん? 何や、それ??」
「……秘密」
クスクス笑ってみせると、啓介もぷ、と笑って、「ま、ええけど」と目を緩ませた。
優しい顔して、見つめてくる啓介に、何だかほくほく幸せ気分になってしまって。緩んだ顔を抑えるのが大変だった。
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