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「悩めるオレ」

 浩平と話して、ちょっとショックな事に気付いてしまってから、ものすごく悶々とした時間を過ごして、授業が終わった。  啓介と会って、とりあえず家に帰り、バイクで出発。  少し離れた、ホテルに来た。  男同士でもOKなとこ、調べてくれたらしい。  駐車場だけ気を付ければ、誰にも会わないで、部屋に入れる。  ほんとに無事に誰にも会わず、部屋到着。なんかスパイにでもなった気分?とか、変なことを考える。  あんまりにスムーズに部屋まで到着して、何だかその慣れた感じにもちょっと、むっとしてるオレ。  でも中に入ったら、何か、テレビとかで見た事しか無かった、いかにもラブホ的な光景にちょっとウキウキ。  何このデカいベッド。ほんとそれしか目的が無いみたいで恥ずかしいなと思った瞬間、何故かカラオケがあるのを見つけて、えっとびっくり。  何でカラオケ?  啓介を振り返ると、何か面白そうな顔でオレを見てるし。  ちょっとまたムッとしたのだけど、興味の方が勝って、聞いてみた。 「何でカラオケあんの?」 「さあ? あるとこ結構あるけど。防音しっかりしてるし、遊び場として使う奴も居るんやない?」  あるとこ結構ある。  ……そんなに何回も色んなとこ行ってたのか。  と思うと。…………さっきの浩平との話もあいまって、またちょっとムカついてくる。 「……雅己、シャワー浴びる?」 「――――……」 「浴びなくても良いけど。すぐする?」  近づいてきて、オレに触れる。 「…………啓介、オレ。聞きたいことがあるんだけど」 「ん。何?」  …………オレってドーテーっていうんだよね。お前とエロイこと、さんざん してるけど。  ……と聞こうかと思ったんだけど。  いや待て、聞くまでもなく、これって、絶対そうだよね。  …………ちょっと待って、啓介に、聞くのは、ちょっと 待とう。  聞き方間違えると、なんかすごく恥ずかしいような気がするような。  ちょっと、落ち着こう。うん。 「……何や? 聞きたい事って」  クス、と笑いながら、啓介がオレの顔に触れれる。 「あ。と――――……」  確か他にも何か聞きたい事、あったはず。何だっけ。他に。あ、そうだ。 「啓介の……マンションに、女の子、連れ込んだこと、ある?」  そう。これは、本当に、聞きたかった。 「無いよ」 「――――……無いの?」 「無い」 「本当に?」 「無いって。1人暮らし始めてから、お前に好きやて迫るて決めるまでの間は、オレんちに連れてってない」 「――――……」 「雅己とマンション行き来してたやろ。いつお前が来るか分からんから、家ではしてない。理由がこれだから……ほんまに無いよ」 「……わかった」  あ、なんか。良かった。  一緒に寝てるベッドに、女の子も寝てたのかと思ったら。ちょっと嫌だったから。 「そういうの気になるん?」 「……なんとなく」 「そか。まあなら良かった。今のマンション、お前しか入ってへんから」 「――――……ん、分かった」  何だかとっても、ご機嫌のオレ。  啓介はクスクス笑う。 「そういうんて、ヤキモチて言うんかなー?」  すり、と頬を撫ぜられて、ぞく、としたものが背筋を走る。 「――――……」  すぐ、そんなモードになる位。  ……体は、こういう事に慣れてるのに。  …………………どーてー。 「……ちょっと……シャワー、浴びてきていい?」 「浴びてきてって……一緒に行ったらあかんの?」 「……一人で堪能させて」 「はー??」  啓介がとっても不思議そうな顔をして笑い出したけれど。 「わーた。堪能してこいや」  クスクス笑いながら、部屋にあるソファに腰かけて、テレビをつけた。 「ゆっくりしてき。行っても良くなったら呼んで」 「うん」  夕方のニュースなんか見始めてる啓介に頷いて。オレはバスルームに向かった。

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