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「セリフ」※※

「~~~~……っ……もぅ、いい」 「ん?」 「……別に……もう、いい」 「何が?」  啓介が、ふ、と笑んで、オレの頬に触れて。少し首を傾げてくる。 「……なんか響きが嫌で。それは、なんか……皆が、早く捨てたいって言ってたのを聞いてたから。捨てなきゃいけないんだって思ってたから、な気がしてきたし……」 「ああ。まあ。……よう言うてたもんな」  高校の頃とか思い出しているのか、啓介が苦笑いを浮かべてる。 「……よく考えたら、オレは、そんなに、捨てなきゃとか、捨てたいとか、もともとあんまり思ってなかったし――――……」 「……」  ふ、と啓介がまた優しく笑む。 「……啓介とこうなったのに、女の子とするとかやだし」 「ん」 「啓介にするとか……オレ、絶対無理。出来ない、し」 「ん。……出来ない、し?」  出来ないし。  ……出来ないし、何? オレ。  何言いたかった、今。  出来ない、し――――…………。  啓介がオレを見つめながら、ん?と、次の言葉を待ってる。 「だから――――……オレは、お前に、してほしい、から」 「――――……」 「……だから。もう、オレはしなくて、いい。一生そのままでもいい」  言い終わった瞬間。ぐい、と顎を押さえられて上げさせられて。  キスされて。深く、塞がれた。 「……ん――――……???」 「……雅己」  名前、囁かれながら、舌が、中にねじ込まれる。 「……ん、ぅ――――……っ?」  いきなりの熱いキスに。  ついていけなくて。 「……っなに……あ……っ」  さっきまで、優しく背中をポンポンしてくれてた啓介の手が、つ、と背筋を刺激しながら、なんか、やらしく、触れてくる。 「……っ風呂、でしないって……」 「無理。……雅己が悪い」 「……っ?……あ……っ」  後ろにまわった啓介の指が、びっくりする位容易く、する、と中に入ってきて。 「……ん、ん……」  かあっと、体が熱くなる。 「……や……っ」  のけ反った唇を、塞がれる。 「んん、ん……っ……」  何だこれ。  ……何でこんな、急に。 「……っんん……ふ、ぁ……」  指が、中の、気持ち良いとこ、触れる。  体が、ビクビク、震えて。    胸に、やらしく触れてた啓介の手が、乳首、きゅ、と摘まむ。 「ンぅ、……あ……っ」  一瞬離れた唇。 「けいす――――……」  また、重なって、舌が絡んで。  激しくて溢れる唾液を飲み込み切れず、口の端から伝い落ちると。  なんか。ゾクゾク、してしまう。 「……っん……」 「――――……オレに、してほしいとかさ……」  少しだけキスが離れて。見つめられて。   「――――……?」  なんでそんな。いきなりそんな、するモードになっちゃったのか、全然分からなくて。つか、今なんて??と、啓介を見上げていると。 「……してほしいとか言うたら、めっちゃ可愛ぇて、オレが思うのは分からんの?」 「………………」  …………さっきのオレの、セリフ、か。  ……そんな事で。……こんな、なるのか。 「……するけど。ええ?」    一応聞いてるけど。  ……絶対聞いてるだけだって、思う。  ここでやだなんて言ったって。啓介、絶対聞かないし。  だってもう。  ……そういう顔、してるし。  でもって、啓介にされるのが。  頭おかしくなる位、気持ちいいのも。知ってるから。  啓介のこんな瞳を見てると。  後ろ。入ったままの指、締め付けて、しまう。 「――――……期待してるん?」  くす、と笑う啓介。 「るさい……恥ずかしい事、言うなよ」 「……オレにしてほしいとか、そっちのセリフの方が、よっぽど恥ずかしくないん?」 「――――……だってそう思ったから……」  啓介は、一度口を閉ざして。ため息を吐く。 「ほんまお前は、意識せんと、そういう事ばっか……」 「……んだよ」  ばっかって何。オレそんな事ばっかり、言ってないし。  ムッとして見上げると。  啓介は、もうええ、と苦笑いで。  オレの唇をまた塞いで。  遠慮の欠片もなく、また、触れ始めた。

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