152 / 244

「楽しい」

 人生初のラブホを経験して帰ってきて。  ご飯も食べてきたし、ざっとシャワーだけ浴びてから、啓介とレポートタイム。パソコンをお互い開いて、向かい合う。  始めてちょっとで、はわ、と欠伸。 「早いわ」  啓介がツッコミを入れてくる。 「……啓介のせいだし」 「んー。まあ。……せやな」  反論されないのも、それはそれで恥ずかしい。  むむむ。 「オレが激しかったからなあ? 雅己、疲れたよな?」  クスクス楽しそうに笑う。 「やめろよもう。恥ずかしいなもう」  ぶつぶつ言うと、啓介が、立ち上がった。 「コーヒー淹れてくる。苦いのがええか?」 「やだよー、おいしいのがいい」 「……眠気覚ましの意味でコーヒー言うてんやけど」 「カフェインってとこで眠気覚ましになるからー、おいしいやつにして」  そう言うと、啓介は、ほんまおもろい、と笑いながら、キッチンの方に向かう。  少しすると、コーヒーの良い香りがしてくる。 「啓介ー」 「ん?」 「すごいイイ匂い」 「んー」  クスクス笑って、啓介が頷いてる。 「入るまでちゃんとやっとけ」 「はーい」  言われるまま、資料を見ながら、パソコンに入力してく。  大学のレポートって、なんか、高校までと全然違う。  まだ一回目のテストとレポート提出だし、すごい手探りだよなー。  これが終わったら、啓介と夏休み、バイトしたり色んな事するんだー。楽しみ。ほんと何しよう、住み込みの海の家とか言ってたけど。すごくすごく楽しそうだなあ……。  高校ん時に、バスケの皆で海行ったなあ。あれすっごい楽しかった。  暑くて、めっちゃ日焼けして、なんかしばらく背中の皮がぱりぱりむけてて……。 「なー、啓介ー」 「んー?」 「バスケの皆で、また海行こー?」  そう言うと、啓介はこっちを見て。 「お前、勉強しとった?」 「――――……う、うん。ちょっとはしてた」  狼狽えてると、啓介、苦笑いしながら、マグカップを持って、こっちに歩いてくる。 「もーテスト終わった時の事考えとったん?」 「……うん。これが終わったら、何しようかなーって」 「ほら」  こと、と、マグカップが目の前に置かれる。  ありがと、と一口飲むと。あまいカフェオレ。 「美味しすぎる」  笑って、啓介を見上げると。  くしゃくしゃ、髪の毛を撫でられた。そのまま、啓介はまた向かい側に座って。 「テスト無事終わらんと、遊んでらんないやろ?」 「うん。分かってる」  うんうん、と頷いてると。啓介は、ふ、と笑んだ。 「……あとで、海、行こって、皆に連絡してみよか?」 「うん! しよー」 「泊まりもええな。どっか安い宿借りて」 「うんうん、良い」  めっちゃ楽しそうーと笑っていると。啓介もクスクス笑って。 「そのためにもレポート進めろや」 「うん。分かった」  何か目が冴えた、と言うと、啓介はおかしそうに笑う。  ――――……やっぱり、オレ。  啓介と居るの、すげえ楽しい。

ともだちにシェアしよう!