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「ちゃんといるから」

 あれから結構レポート頑張って、割といいとこまでいった。  時計を見ると、23時。 「――――……つかれた」  オレが言うと、啓介が、せやな、と笑う。 「そろそろやめる?」 「うん。疲れた。寝よ?」 「ん」  頷きながらパソコンの電源を落として、啓介が立ちあがる。  マグカップを二つ持って、キッチンの方に歩いていく。 「雅己、パソコン片づけといて」 「うん」  コンセントを抜いて、パソコン二つ、片づけてから、コーヒーの諸々を片付けてる啓介に近付く。 「今日はもう、寝てもいい?」 「――――……」  泡を流しながら、オレを見て。  ぷ、と笑って。 「ええよ。疲れたやろ?」 「――――……する気だった?」 「いや。今日は寝ようと思うてたよ」  クスクス笑う啓介。  ほんとかなあ?とのぞき込むと、苦笑い。 「別に出来るけど」 「……」 「疲れたやろ。 夕方もやし」 「……うん」  じゃあ今日は、安らかに寝れる。  るんるんと、啓介から離れて、歯を磨きにいく。  別に嫌な訳じゃない。  嫌な訳じゃないけど。  ……まあ、疲れるっちゃ疲れるしなぁ……。  歯を磨きながら、リビングに戻ると、啓介がスマホを見ながら止まってた。 「けーすけ??」 「ああ――――……なあ、さっき、バスケの奴らに夏の事送ったやろ?」 「うん?」 「結構皆行こうって。日程あわせよ」 「マジで? やったー」 「――――……なんや、女子も誘ってんなあ」 「ふうん?」  口閉じて歯を磨いたまま、首を傾げる。 「オレ、男子にしか声かけてないんやけど……女子マネがグループに入ってきとる」 「――――……ふうん……」 「まあ、前は一緒に行ったし、同じやけど」 「ん」  頷いてから、オレは洗面台に戻って、口を漱ぐ。タオルで拭いていると、啓介もやってきて、歯ブラシを持った。 「雅己、女子居ても平気?」 「うん、別に」 「――――……若菜とか、平気?」  ……んー。啓介の事、きっと今も好きだもんなぁ……。  前回バスケした時、おかげで、ちょっとだけあったけど……。 「うん。別に。平気」  頷くと、啓介は、ん、と笑った。  リビングに先に戻って、水を飲みながら、自分のスマホを開く。さっき啓介が見ていたグループのトークに、ざっと目を走らせる。  あは。皆、楽しそう。ノリ良いよなぁ。  皆で行ったらどっかで体育館借りて、またバスケするのもありだよな。 「寝る? 雅己」 「うん。寝る」  スマホを切って、テーブルの上に置く。  啓介のベッドに二人で入って、一緒に布団に寝転がる。 「――――……雅己、手」 「ん」  言われるまま手を出して、繫がれる。 「……なんや、もう何日か経つけど」 「ん?」 「お前の家が、ここなのが、ほんま嬉しい」 「――――……うん」  啓介の言葉に、ふ、と笑ってしまう。 「――――……もーずっと、そうなんだろ」  そう言うと。  繋いだ手を引かれて、腕の中に引き込まれる。 「……そやな」  抱き締めたまま、そんな風に答えて。額にキスしてくる。 「あのさ、啓介」 「ん」 「平気だよ、女子。――――……オレ今は、ちゃんと、お前と居るから。こないだとは違うから」  そう言うと、いよいよ抱き込まれて、動けない。 「……このまま、寝んの?」 「ん」  啓介はクスクス笑う。  ちょっと苦しいけど――――……まあ、いっか。 「おやすみ……」  目の前にある啓介の唇にキスすると。   「オレが何でキスしてないか考えてほしいんやけど……」  とか、ため息つきながら、ぶつぶつ言ってる。  

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