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「彼女」

 あれから結構多忙な一週間を過ごした。  レポートはかなり大変だし、語学とかは普通に覚えるテストだし。  テスト終了日、最後のテストで一緒だった友達たちを誘って、皆でファミレスに行った。  久しぶりに、テストの事とか考えない、楽しい時間。  六人がけのテーブル二つ端っこで占領。  啓介とは別のテーブルになっちゃったけど。まあ、たまにはいいなと、そんな感じ。啓介の後ろ頭が見える席、ちょっとそんなのも楽しい。 「皆夏休みどーすんの?」  そう聞くと、帰ってくる答えは、結構バラバラ。  夏休み中実家に帰るって奴、バイト三昧って奴もいたり。彼女と旅行ーて奴も居るし。 「雅己は?」 「うーん……啓介とバイトしようとか、旅行行こうとか」 「ああ、そういや一緒に住んでるんだっけ」 「うん」  別に宣言してる訳じゃないので、バラバラにずーと聞かれたり話したりするので、この会話にも大分慣れてきた。  それに、一緒に住んでると言っても、誰も、そっちの意味で考える奴はいないんだなーということも分かってきたし。  ……よく考えたら、啓介って、超モテモテだから、完全に、女好きだと思われてるんだよね。なので、オレと一緒にどんだけ行動してても、そんな風には思われないらしい。  ……て事が、大分分かったので、オレはもうこの話早く切り上げようとかも、思わなくなってる。 「ほんっとに、仲いいなぁ?」  こんなセリフにも、まあ、そうだね、と言う感じ。ふっふっふ、と、余裕の対応が出来る感じになってきてる。 「啓介とばっかりいたら、彼女とか作れないんじゃねえの?」  そんな台詞も、別に今は、平気。 「うーん……でもまあ、今は別いいかなあって」 「それは雅己だろ? 啓介は結構、彼女居たじゃん」  う。  ………。  高校の時の啓介を知ってる友達の言葉に、ちょっと黙ったら。 「オレが何や?」  啓介がくる、と振り返った。 「夏休み、どーすんのって話」 「ああ――――……バイトしたり、旅行したり。な? 雅己」  うんうん、と頷くと。 「それそれ。その話でさ。雅己とばっか居たら、彼女作れねーじゃん、て言ってたの」 「ん? ああ……」  ちら、と啓介がオレを見て。ふ、と笑った。 「別に彼女だけが全てやないやろ」  とか。カッコよく言ってのけた啓介は。  オレが、おお、と思った瞬間。 「つか、お前かっこつけんな」 「モテる奴しか言えねえセリフだぞ」 「つーか、大学一年の夏休みなんて、彼女居たらパラダイスだろーが!」  とか、その他諸々。  よく分かんない嫉妬やらの餌食になってた。  まあ。  ……オレが解放されたし、啓介は、全く平気そうなので、それで良しとしてほっといたけど。  にしても。    皆、そんなに彼女欲しいんだなあ~、としみじみ思ったりした。  オレ、よく考えると、啓介関係なく、元々そこまでそういうの、強くなかったんだよな。  いつか誰か可愛い子とーとか、夢見てる感じはあったけど。  可愛い、じゃなくて、カッコいい、奴が相手になっちゃったしなあ。  まあ。  全然いーんだけど。  彼女、ねえ……。  

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