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「ピンクの空」1

 テストが終わって、最後の週。  夏休みの予定を学校の友達と色々決めたり、高校の部活の皆とも連絡をとったり。とにかく大学一年生の夏休みを、謳歌できそうで、もうわくわくしながら、金曜日、一学期最後の授業を終えた。  帰ってきて、来週から忙しいなー、でも楽しみだなー、なんて話しながら食事を終えて、コーヒータイム。  そろそろ寝る?と、テレビを消した時だった。  啓介のお母さんから電話がかかってきた。啓介は、電話をしに廊下に出て行って、少しして、ため息をつきながら帰ってきた。  その間に歯磨きを終えて、キッチンで水を飲んでたオレの隣に立つと、まっすぐ見つめてくる。 「どーしたの?」 「雅己、すまん。明日明後日、大阪行ってくる」 「え? あ、大阪?」 「……明日、買い物に行こう言うてたの、無しな? ほんとすまん」 「いいけど……どうしたの?」 「法事て、二カ月前位に言われとったの、完全に忘れてた……明日何時にこっちくる?て聞かれて思い出した……」 「あ、そうなんだ。しょうがないよね。明日大阪に泊まるってこと?」 「法事が午後からやし、せっかく行くから、ばあちゃんちに泊ってけって」 「分かった。……て落ち込むなよ」  苦笑いしながら言うと。 「せやかて、お揃いの日用品とか色々揃えに行こうて言うてたのに」  ……あ、楽しみにしてた訳ね。 「帰ってきたら、行こ?」 「……忘れてた自分が悪いんやけど……」  はー、とため息をつきながら、啓介がオレを抱き締めてくる。 「二カ月前に聞いて、その間一回もその話してないの?」 「忘れないようにって、近くなったらまた連絡するからって言われた時、オレが、忘れる訳ないやろ、電話なんかいらんわって、言うたらしい……」 「ああ……」 「多分そん時、電話でしつこく言われて、もう分かったわ、て言うた気は、する……」 「そんで、まんまと、忘れちゃってた訳か」  まあ、分かる気はする。  色々忙しかったもんな……。 「明日朝早くて、明後日も帰ってくんの、夜になりそう」 「そっか。しょうがないよな」 「……二日間、お前何しとんの?」 「――――……何してよ。今言われたばっかだし、何も考えてないけど」 「……浮気すんなや」 「……バカなの? 本気でバカなの? する訳ないじゃん」 「……分かっとるけど……」  むぎゅーと抱き締められて。スリスリ髪の毛に啓介が頬を当ててる。  何。なんか……ちょっと可愛くて笑ってしまう。  なんだかな、啓介。  ――――……急に二日間離れるとか、啓介、無理なのかな。  外で見てる限りは、そんなタイプには、絶対見えないのだけど。

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