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「一人の朝」

「――――……ん……」  朝日が明るくて、目が覚めた。  八時――――……結構寝たなー。  一人だし、自分の部屋に一応ベッドあるし、どっちで寝ようかなーと思ったけど。結局、啓介のベッドで、眠った。  夜遅くに電話が来て、友達との事とか色々な話を聞いてる内に、オレがウトウトしだした所で、電話を切る事になった。  切ると同時に、そのまま眠ってしまった。  ……午前中はまた別の友達と会うって言ってたっけ。  その時、ぴこん、とスマホの音。  啓介からのメッセージだった。 「起きとる?」だって。  ふ、と笑って。寝転がったまま、通話ボタンを押すと、すぐにつながった。 「けーすけ? おはよ」 『今起きたとこ?』 「うん、そう。啓介は?」 『うん、オレも』 「昨日遅かったもんね。あれからお風呂入って寝たんだろ? 何時寝?」 『んー……一時位やったかなぁ……雅己、どこで寝たん?』 「ん? あ、啓介の部屋」 『オレんとこで寝たんか』 「何となく……いつもここだから」 『今日はめっちゃ抱き締めるから』 「――――……ん??」 『昨日一人にして堪忍な?』 「……って、別にオレ、寂しくてここで寝た訳じゃないからな」  朝から、恥ずかしいな、啓介。  もうこれは寂しかったとかじゃなく、ただ惰性で、ふらふらーと啓介の布団に来ちゃっただけで……っ。  と言いそうになったけど、惰性は惰性で、またちょっと恥ずかしい事になりそうだから、もう、言うのはやめにした。  啓介は電話の向こうでクスクス笑ってるし。 『雅己、今日は何しとるん?』 「何してよっかなあ……とりあえず起きて、朝ごはん食べて、洗濯する」 『ん。で?』 「まだ本読み終わってないやつあるから読んで……昼を食べてゆっくりして……啓介を迎えに駅まで行くよ」 『ん、分かった。待っててな?』  その時、啓介の電話の向こうから、朝ごはんよーとかそんな声が聞こえてくる。 『あ、呼ばれた』 「うん、聞こえた」  クスクス笑うと、啓介も笑ってる。 「おばあちゃん孝行と、親孝行、してきなよ」 『はは。せやな』 「じゃあ、あとで」 『ん』  電話を切って、ゆっくり起き上がった。    こんなに一人で、これといって何もしないで過ごすのって、超久しぶり。  昨日も大分ぼーとしてたし。  まーいっか。二日位ぼーっとしてても。  パンに卵にコーヒー。あとヨーグルト。  野菜も食べろとか、啓介がいつも言うから、とりあえずミニトマトも洗って乗せた。  食べ始めた所で、啓介からメッセージ。 『朝、何作った?』 「――――……」  食べかけだけど、いっか。  写真を撮って、送る。 『お、エライ。ミニトマト乗ってる』  なんて言葉と、拍手の絵文字。  笑ってしまう。 「啓介は何食べたの?」と入れたら。 『ばーちゃんのごはん。和食。納豆、味噌汁、鮭、卵焼き、きんぴらとか』 「旅館みたい。美味しそう」 『もうすぐ旅行やもんな。楽しみやな』 「うん。そだな」  そうだ、バスケの皆と旅行行くんだった。  なんか一気に気分、楽しくなる。  そんなやりとりをしながら朝食を終えた。  洗濯干したら、本屋行ってこよっと。  ネットで調べるのも良いけど、旅行雑誌は、紙で見るのが好き。    ウキウキしながら食器を片付けて、洗濯と軽い掃除を終えて、オレは、十時に着くように、本屋に向かった。  

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