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「嫉妬無しで」

 ……でも考えてみたら、こういうこと、よく考えてる気がする。  勝てるもの、いつも結局見つからずに終わるような。  むむむ。ムカつく。  でもまあ……仕方ないか。  ……なんかそんな風に、ひょいひょい色んなこと出来ちゃう啓介が、カッコいいなとずっと思ってたし、そういうとこ好きなとこでもあるかもしれない。  別にできないことがあっても全然いいけど、なんか、しれーっとした顔で出来てるのも、まあ、嫌いじゃない……かも。  ……あぁ、でも好きすぎる感じが、自分でムカつくような?  ああ、すげー複雑! 「もうちょっと先まで行ってみる?」  ちょうどそこらへんを考えていた時に啓介が隣に来て、そんな風に聞いてくる。 「うん、行こ」  頷くと、啓介がクスッと笑って、オレの背にポンポン、と手を置いた。 「写真撮ろ、雅己」 「あ、うん! 撮る!」  そうだった! まだ一枚も撮ってなかった。  スマホを取りだして、皆にカメラを向け始める。  ノリがいい皆の写真をパシャパシャ撮り続けていると、くい、と啓介に引かれた。 「オレとも、撮ろ」 「ん。二人で?」 「ん」  ……ちょっと啓介、可愛い。  オレと二人て撮りたいんだ。 「自撮り苦手……」  一生懸命腕を伸ばして、プルプルしていると、笑いながら啓介に奪われ、少しして、ささっと撮影完了。 「ほれ」 「おお」  上手。川も入ってて、良い写真。 「後でそれちょーだい」 「うん」  ふふ、と笑って頷く。  二人でツーショットなんてしてたら、皆が少し先に行ってしまって、また少し二人になった。  皆の後を追いながら、ゆっくりと歩き出す。 「なあ、雅己」 「んー?」 「ちょっと 言うとく」 「……ん?」  河原、石ころをこん、と蹴りながら進んでいると。 「この旅行の間な?」 「ん」 「なるべく、ヤキモチはやかんようにする」 「……うん。そーなの?」 「あぁ。オレはお前が好きやし……お前もそうやろ?」 「……うん」  一応頷くと。 「それは別に、ここで誰と仲良く喋っても変わらんやろ?」 「うん」  そりゃそうだ、と思う。 「せやから、変な嫉妬はせえへんようにする」 「分かった。……じゃあ、オレもそうする」  ……若菜と話してても、若菜とくっついてても、気にしない気にしない。  唱えていると、啓介は、あ、せやけど、と言ってオレを見つめた。 「ただな、雅己、触らせんのは無し」 「触らせる? 例えば??」 「マッサージとか」 「――――……」  それは、前回のバスケの時の……。  まだ覚えてたのか~……。確かに今日、良、来てるけどさぁ……。  思い出して、眉を顰めていると。  啓介はぷ、と笑って。 「わーた?」 「……分かった。そっちも、触らせンなよ?」 「おう」  とまあ。  ……こんな感じで、オレと啓介は、この二泊三日。  タッチは禁止の。  嫉妬もなるべくしないように、ってことで、 楽しく過ごそうってことに、なった。

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