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「結構好き」

    バーベキューが終わって、皆、お腹いっぱいーって言ってる。  バスケ迄空き時間があるから、眠い奴は宿で寝るって言いだして、腹ごなしに散歩するって言ってる奴らも居る。  オレはどうしよっかなあ。  ……朝早かったし、眠い気もするけど、眠らなくても平気そうな気もする。なんか寝ちゃったらもったいない気も。 「雅己」 「ん?」  啓介に呼ばれて、近づいてくる啓介を見つめ返すと。 「お前、寝たい?」 「ううん。なんかもったいないから、なんかする?」 「ちょお、ついてきて」 「どこに?」 「バスケする体育館。一回みとこ?」 「え、見ていいの?」 「オレらの前、誰も借りてへんからって、もう 鍵は借りたんや。でもまだバスケできんやろ」 「そうだね。皆動けないでしょ。良いよ、見にいこ。皆も行くかな」 「二人でいこーや?」 「――――……」  二人で? ……まあ。良いけど。 「啓介と雅己は? どうすんの? オレらは、さっきの店とかで土産見てくる」 「オレら土産はあとで行くわ」  声をかけてくる皆に、啓介がそう言ってるのを見ながら、オレは黙ってた。  ……いつも、啓介と二人だから、この旅行中は、皆と居てもいいなと思ったんだけど……。なんか、二人でいこ、と言われて、ちょっと喜ぶオレのこの気持ちは一体?  …………今更だけど。オレってば、啓介のこと、かなり好きなのかな。  ……いや、好きなのはわかってるんだけど……。  二人になりたいとか、思ってたりする?   ……なんか、いつもは……「否応なく」って言ったら啓介に怒られそうだけど、でもほんとに、嫌とか良いとか考える余地もなく、ずっと一緒なもんだから、旅行の間位は離れてもって思いながら来たのに。まだ午前中が終わったところだし、そんな離れても、ないのに。 「いこ、雅己」 「あ、うん」 「結構食うた?」 「めちゃくちゃ食べた」  言うと、啓介がふ、と笑う。 「バーベキュープランにして良かった?」 「うん、良かった。あれ、それって選んだの?」 「そやで。普通に宿の食堂で食べるんもありやったんやけど」 「そうなんだ。うん、バーベキューで正解! 楽しかったし」  そか、と啓介が笑う。 「あ。なあ、啓介さ。さっき、先輩と話してた時、ちょっと怒ってた?」 「……ああ。過保護って奴やな……」 「うん」 「……つか、孝先輩も、雅己に過保護やん。て思うてた」 「……そう? ああ、なんか要も言ってたけど」 「あの人、彼女居らんかったら、完全に雅己狙いやと思う位やけど」 「……それはちょっと、何言ってんのか良くわかんない」 「分かれや」  苦笑いの啓介。 「分かんないよ。だって絶対そういうんじゃないし。まあ確かに、よく話しかけてきてくれるし、優しい先輩だけど」 「まあ、彼女居るからええけど」 「そこ基準で、えぇ、なの?」 「せやな」  啓介ってばほんと意味が分かりません。  呆れて苦笑いのオレに、「別に怒ってはないけど。バレた?」とさらに苦笑いの啓介。 「まあ……誰も気づいてないと思うけど」 「雅己にはバレるってことか」  なんかそんなこと言いながら嬉しそうだったりする。    

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