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「むむむ」※

「……ん、ふ……」  なんかもう、啓介のキス、振り解けなくなってるなオレ。  こんなとこじゃダメだって、思うのに。 「けい……っぁ」  シャツの下に手が滑り込んて来て、胸をなぞって、乳首をかすめる。  ぞく、とした感覚が走って、びっくりして啓介を見上げる。 「だめ、だって……」 「……そんな顔で言われてもなぁ」 「……ん、んー……っ……だ、め、って……」 「…………可愛ぇな、雅己」  ああ、もう、全然聞いてないし。もう。  いやだめだって、こんなとこで、どうすんだよ、どこまですんの、無理無理無理無理。 「けい、すけってば……」  ぷるぷる頭を振ると、はー、と啓介がため息。 「……分かった。我慢できる?」 「するっつーの……! もう、触んなよ!」 「はいはい」  むぎゅ、と抱き寄せられて、背中をトントンされる。 「……もう、ほんと、中途半端辛いからやめろよ」 「……堪忍堪忍。もう触らん」  クっと笑ってる啓介を下から、むー-と睨む。 「せやかて可愛ぇんやもん……」  ぎゅうう、と抱き締められて、啓介の汗の匂い。  ……ああ、もうこれも、最中のを思い出すから、ほんと、やばい。 「離してくんないと、収まんない……」  オレが啓介の胸に手を当てて、自分から引き離すと、啓介はまた笑うけど。  ……笑い事じゃない。もう。 「オレ、ほんまお前の反応、可愛くて好き」 「…………」  それはもう、知ってるけど。……こんなとこでその気にさせられるこっちの身になってほしい。  むむむと、啓介を睨んでると、ごめんて、と笑われる。  その時。  ガラガラと、扉が開く音がする。  びくう!!と震えたオレに、啓介が、ふ、と笑ってるし。 「あれー? 居ないみたい?」 「体育館がある方に歩いてったって言ってたのにな」 「どっか別のとこ行ったかな?」  何人か来たみたいで、バラバラと声が聞こえてくる。 「……落ち着いたら出てこいや?」  言って、啓介はオレを置いて、倉庫の外に出て行った。 「ああ、こっち居るよ。今まで一対一、雅己とやっててん」 「え、もうバスケやってたの?」 「雅己は?」 「今、中片付けとる」 「そろそろ着替えとかももって、体育館入ろうぜー?」 「ていうか、お前らもうバスケしてたの?」 「しとった。試しにボール出したら、楽しくなってしもて」  …………くー、何であいつはけろっとして、外出てける訳!!  もう!! オレのことばっか触ってるから! オレの方がその気になってるじゃんかー!   なんかオレはまだ、触られた感覚とかキスされた感覚とか、ぼーっとした感じが残ってるのにー! ひどいー!!  心の中で叫びながら、でもとりあえず、下が落ち着いてきたので、ふー、と長いため息をついてから、オレも倉庫から出た。 「あ、雅己ー」 「うん。もうバスケ準備すんの? 皆も来てんの?」  なるべく普通に声を出したのに。 「まだ来てない。一旦宿帰って、バスケの準備……つか、なんか顔赤いなお前。熱中症? 水飲んでる?」 「ほんとだ。やばそう」 「…………飲んでなかったから、水飲もうってやめたところ」 「倒れるぞー?」 「早く水飲みにいこ」  そのセリフに、頷いてから、オレは、隣で何やら笑ってる啓介を、思わずじっとり睨んだ。 (2023/2/7) ◇ ◇ ◇ ◇ フジョさんでは300ページ㊗♡ いつもありがとうございます♡

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