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「啓介のせいだけど」

 それから、皆のスマホに集合の連絡を入れた。  宿で着替えて、バッシュや水とタオルとかを持って、体育館に移動。  皆で準備運動から始めるのも久しぶりで、なんだか楽しい。  朝から、川で遊んだり射的したり、バーベキューしたり、これから皆でバスケ。盛りだくさんで楽しすぎる。準備運動を終えて、ウキウキしていると。 「雅己、さっき啓介とバスケしてたの? 一対一やったとか聞いたけど」  要に聞かれて、その横から良も「そうなんですか?」と聞いてくる。 「うん、してた」 「今からやるっつーのに、待ちきれなかった?」 「ちょっと覗きにきたら、ボール触りたくなっちゃって」 「元気だなー」 「はは」  言われて苦笑い。  んなこと言っても、啓介と一緒にボール触ったら、やっちゃうよなぁ、と思う。啓介と一番一緒にやってきたのって、今のところはやっぱりバスケが一番だもん。 「さっき真っ赤だったもんな、雅己」 「良かった、顔戻ったな」  そう言ってくるのは、さっき、とんでもないこと啓介としてた時に入ってきた皆。 「水飲まないでバスケしてたとか、ダメだよなあ」 「う、ん。だよね。気を付ける……」  …………バスケというより。  ……絶対啓介のせいだけど……っ。  そんな話をしてる時に、タイミング悪く現れる啓介。 「啓介もさぁ、だめじゃん」 「ん? 何がや?」 「雅己があんな真っ赤でぼーっとしてるのに、バスケやらせてちゃ」 「あー……」  啓介は、そんな声を出しながらこっちを見てきて、オレと視線が合うと苦笑い。 「せやな。……今度から気ぃつけるわ」  とか、さらっと言いやがって、オレがじろっと睨むと、クックッと、笑ってるし。  もー、お前のせいだよ、お前の……!!  あんなとこで、サカるからっ……!!  オレがどんだけ赤くなってたか、ぼーっとしてたか知らないけど、知らない皆にそんなこと言われるみたいな顔を見られたのもなんか、恥ずかしい。たとえ、皆にはバスケしたせいだって、思われていたとしてもっ。  もうもうー、ほんとにもう……! 「堪忍、て」  啓介がオレの頭をぽふぽふと叩きながら、そう言って笑う。  ほんと楽しそうだし。なんならニヤニヤしてて嫌。バカ啓介っ。でもってすぐその気にさせられるオレのバカっ。 「とりあえずドリブルとシュートの練習からしようぜ」  先輩達の声がして、とっさに「はいっ!」といい返事が出るのは。  久しぶりだけどやっぱり皆、体育会系。  楽しすぎる。   啓介は、こっちに来てからもなんだかんだキスしたりなんだり、エロ魔人だけど。もう。  そう思うんだけど、バスケが始まると、啓介はやっぱりめちゃくちゃカッコいいので、なんだか、文句を言いたいその気持ちもすぐに、薄れていく。

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