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「肌白い?」

 あの後、片付けが終わって、旅館に戻ってそのままお風呂の用意をして、温泉へ。大浴場はかなり大きかった。その時間誰も居なかったから、オレ達の貸し切りみたいな感じで、超快適。  体を洗ってから、露天の方に出てきた。  ……さりげなーく、啓介がずっと横に居るのが気になるのはオレだけで。  まあ、要とかも一緒に入ってきて、隣で体洗ってたし、で、そのまま一緒に露天来たし、啓介だけが居る訳じゃないので、他の誰も、そんなことは気にしないんだけど。  ……まあ、オレは、さっきの啓介の言葉があるから。  もー、ほんとに横に居るし―と、見張られてる気分。  見張られてるというか。……見守られてるのか? よくわからんけど。  ……啓介って……馬鹿だよなー。  啓介は何でかオレに反応するけど。  ……オレは、啓介とするのが、気持ちいいこともう知っちゃってるから、もうどうしようもないけど。  ……他の皆は、オレに興味なんかないと思うのだよね。ほんと。  啓介の言うことって、ほんと、たまに謎。 「雅己ってさー」 「んー?」  啓介って変、とか考えながら、ぽけー、とお湯につかって、空を見上げていたら、隣に居た要が、オレに呼びかけた。 「色白いよね」 「んー。そう? まあ黒くはないかも」 「オレも結構白いとか言われるから、ついつい日に当たるとこ歩いたりすんだけどさー」 「えーそんなことしてんの?」  クスクス笑って、要を見ると、確かに、肩とか、割と白いかも。  啓介が白くないから、啓介を見慣れてると、余計そう思うのかなあと思っていると。 「してる。でもなんか、オレより雅己のが白いなーと思って。まあオレら、バスケだったし、そんな焼けないよなー?」 「うんうん、焼けない。ていうか、オレ、あんまり焼けないんだよね。海とか行って赤くなっても、すぐ戻っちゃうし」 「男だと、なんかちょっとやじゃない?」 「そう? あんまり考えたこと無かった……」  そう言われてみると、確かに、そうなのかも。  啓介、カッコいいなとちょっと思っちゃうもんなぁ。 「啓介はいーよな、良い感じの色。焼きに行ってる訳じゃないよな? って、高校からだもんな」  要がそんなことを啓介に言って、クスクス笑っている。 「親父譲りやなー肌の色は」 「いいなー、ずるくない? 焼かなくてもかっけーし」 「要はそう思うんやな。せやけど、こどもん時は、黒いの嫌やったけどな?」 「そうなの?」 「冬にな、何で啓介は冬でも白くなんないの?とか、聞かれたことあった」 「はは、そうなんだ。啓介、何て答えたの?」  可笑しそうに笑ってる要に、啓介も笑いながら。 「あー。そこは覚えてへんなぁ。白くなんないとあかんのかって思うたのは、覚えとるけど」 「わー、なんか可愛い。啓介も可愛い頃あったんだね」  思わずそんな風に言うと、啓介がニヤニヤ面白そうな顔をして、オレを見る。 「は? 今も可愛いやろが」 「……可愛さのかけらもありませんけど」 「はー?」 「どこに可愛さ、ある訳?」  ぎゃーぎゃー言い出したオレ達に、要がぷっと吹き出した。 「二人って、家でもそうやって、ぎゃーぎゃー話してんの?」 「え」  家でもぎゃーぎゃー……。  ……してたっけ?  ……してないかなぁ。二人だと、啓介って、甘々魔人だからな……。

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