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「パフェ」

「おなかいっぱいだけど、アイスは食べたい。取ってくる」  そう言って皆から離れて、デザートコーナーに向かう。 「あ、雅己」 「あ。啓介。まだ肉たべんの?」  ちょうどデザートコーナーに立った時、後ろを、お肉を乗せた皿を持った啓介が通りかかった。 「ん。お前はもうデザート?」 「うん」 「さっきアイス食うたやんか」 「いいの、すげー美味しそうなんだもん」 「そうなん?」  クスクス笑われる。 「そうなの、なんかパフェみたいなの作れるみたいでさ、さっき、女の子がめちゃくちゃ豪華なパフェ作ってて……」 「ああ、ここにパフェのグラスあるで」 「あっほんとだ!」  一つ手に取って、それから、啓介をちょっと見上げる。 「ねーねー、啓介、一緒に作ろうよ」 「……オレ、肉持ってんの見えへん?」 「見えるけど。恥ずかしいじゃん、パフェ一人で作ってんの」 「……はいはい。ちょお待ってて」  苦笑いの啓介がお皿を持ってって、自分の席に置いてくると、すぐ戻ってきてくれた。 「ごめん」 「……思うてへんやろ」  く、と笑う啓介に、ぽんぽん、と背中を叩かれる。 「早よつくろ」 「ん!」  パフェのグラスをひとつずつ持って、デザートコーナーにある透明ケースの扉を開く。 「これ?」 「ん。コーンフレークみたいなのが下やない?」 「うん。次は?」 「アイス?」 「チョコアイスにする」  二人でコーンフレークの上にアイスをのせる。 「あと果物かなあ?」 「もう後は何でもええんやないの? 最後にアイス乗せて、生クリームかもなぁ?」 「じゃあ……」  みかんや桃を入れて上にバニラアイス。 「啓介、生クリームどーやんの??」 「オレかてよう知らんわ……」    クスクス笑いながら、啓介が手に持って、出した生クリームを横から見つめていると。  ちゃんと可愛い感じで生クリームが飾られた。 「おお、すげー。器用、啓介」 「こうやな。分かった。ええ、雅己?」 「うんうん」 「後ろの方きゅってしめて下の方にクリーム集めて押さえといて」 「うん。……こう??」 「で、ここらへん、ぎゅって押して、ちょっと押し付けて、離す」 「――――……」  言われるままに生クリームの袋から押し出して離すと。 「おお、すごい! いいじゃん、これー」  わーい、とばかりに、アイスの周りに生クリームを並べていく。 「啓介のもやる?」 「オレ、飛び飛びでええよ、そんなにクリーム敷き詰めんといて」 「ええー美味しいのにー」 「少しでええよ」 「……じゃあこれくらい?」  調子に乗って啓介のも生クリームで飾る。 「あと、ポッキー刺す?」 「ええよ、さして」 「チョコチップは?」 「……ええよ、乗せて」 「さくらんぼは?」 「もう全部のせてええって」  啓介は、何だかすごく笑ってるけど、まあ、嫌がってないからいいか。  こてこてと、あるものいっぱい使って飾って、超可愛いパフェが完成。 「おーすごいー。ね、啓介、写真撮って」 「えーよ。ちょお待ってな」  言って、席に戻ってスマホを持ってきてくれる。 「雅己、パフェ持って」 「うん」  作ったパフェ二つ、顔の下に持って、啓介の方を向く。 「ん。撮れた」 「わーい、サンキュー。じゃあこっち、啓介のね」 「ん」  クスクス笑って、啓介が受け取る。 「お肉食べたら、すぐ食べてねー」 「んー」  啓介と離れて、席に戻ると、良たちにクスクス笑われていて。  「何?」と聞くと。 「めちゃくちゃ楽しそうに先輩達がパフェ作ってるから……」 「なんか可笑しくて」 「はい、雅己先輩」 「ん?」  アイスを頬張りながら、良が見せてくれたスマホを覗き込むと。 「――――……」  啓介とオレが、超笑顔でパフェを作ってる写真。 「何撮ってんだよー」 「良い笑顔でしょ。送っといてあげますね」 「要らないって……」  言いながら。  何だかすごく楽しそうな自分たちに、ふ、と微笑んでしまう。  ……楽し。

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