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「中高生みたいな」

 ジェットバスで、泡にぶくぶくされながら、気持ちいいねーなんて話しながらふと思う。 「確かに高校ん時からずっと居たね」 「ん。ずっとな」  今、露天の方には何人か居るみたいだけど、広い大浴場は二人きり。  お湯につかったまま、聞いてみた。 「最初は友達だったよね?」 「んーまあ、一番最初はな?」 「……どっから、そうだったの?」 「はっきりはせんけど……言わんかったっけ。プールとか。着替えん時とか。雅己の裸だけ見れなかったって。そこらへんから、意識しとるんかなーっては思ってたけど、まあ認めたくなくて、抗ったしな」 「そっか」  頷くと、啓介がオレを見つめる。 「お前はなんなら最近までは友達やったろ?」 「……さぁ。良く分かんない」 「一回聞いてみたかったんやけど、ええ?」 「うん、いいよ」 「とりあえず付き合うって言うた時。あれってどんな感情?」 「……んー……難しいんだけど」 「ん」  クスクス笑いながら啓介がオレの答えを待つ。 「啓介じゃなかったら、それは言ってない。……断って、啓介と居られなくなるのが嫌だったから、じゃあもういいや、付き合ってみる、みたいな感じ? ……まあでもあんなすぐ、手、出されるとか思ってなかったけど」  ぷー、と膨らんで見せると、啓介が思い切り苦笑。 「……でもまあ、啓介じゃなかったら、あれも絶対、断ってるし。……啓介と離れたくなかったから、苦渋の決断だったけど」 「はは。おもろ」 「おもろくない。すんごく考えたんだからね」 「まあ。せやろけど」 「……で付き合ってみたら、もう、毎週とか、なんならしょっちゅう啓介の家にいってる感じになってさ。今週は断ろうって思ってても、結局断れなくて。……そういう好きじゃないと思ってたから、まあわりと葛藤はあったんだけど……」 「けど?」 「……もともと啓介が好きじゃなかったら、葛藤もないよね。最初に断って、離れてたかもしれないから。オレは、どこからかは分かんないけど、啓介のこと、そう言う意味でも好きだったんじゃない? いつからは分かんないけど」 「オレ以外の男が、お前にめーっちゃ迫って、好き言うたら?」 「断るって」 「付き合えなかったら死ぬーとか言うたら?」 「断る。啓介が特別だったんだよ。うん」  そうそう。  一人納得して頷いていると、啓介は嬉しそうに笑いながら、すこし 近づいてくる。ん?と顔を見ると。 「……抱きたいなー」 「!!」  そんな風にささやかれて、もともとほかほかになってきてるのに、カッと顔だけ熱くなる。 「だ、めだかんな!」 「分かっとるわ。どこですんねん」 「啓介のことだから、どっか見えないとことかで」 「どこやねん」  クスクス笑いながら、啓介が少し離れる。 「今日と明日は我慢して、明後日 帰ってからだからね」 「はいはい」 「昨日だって、なんだかんだ、キスしてたし」 「全然最後までしてへんし」 「当たり前じゃんかー」  もー、と啓介を見ながら眉を顰める。 「啓介は、もうそういうの、今日のバスケに全部ぶつけて。昨日もそう言ってたじゃん!」 「……なんや中高生みたいやな、性欲を運動に、とか」  クックッと笑ってる啓介に、オレも苦笑い。

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