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「のんびりな朝」

 温泉を満喫しきって部屋に戻ると、もうほとんど皆が起きていた。 「風呂行ってたの?」  聞かれて、すっごい気持ちよかったと答えると、ほんとお前ら元気なーと返ってくる。 「元気っていうか、しあわせに浸ってきただけだよなー?」  啓介に言うと、せやな、と笑って頷く。 「朝風呂良かった?」  一人に聞かれたけど、何人かが興味深そうにこっちを見てる。 「めっっちゃ良かった! 明日は行こうよ。もったいないよ。な?」  啓介を見上げると、ん、と頷く。何人かが、明日はいこーっと、と楽しそうなので、うんうん、そーしよ、と色々お薦めポイントを話していると。 「とりあえずそろそろ朝食いこか」  啓介の言葉に皆が動き始める。  皆が準備出来てから、廊下に出て、食事の部屋に向かう。ふと一人が啓介を振り返った。 「あれ、今日ってさ、相手が試合してくれないとしても、あの体育館、半分は使えるんだよな?」 「せやな、使える」 「でもどうせなら全面使って、試合したいよなー」  皆も同じこと言ってる。  やっぱり試合が楽しいよね、うん。  啓介が交渉しにいくとき、絶対ついてって、一ゲームでもってお誘いしてみようっと。  皆で食堂に入ると、今日もバイキング。  和食や洋食の朝食っぽいメニューが色々並んでいる。今朝は一緒に入ったまま、啓介と隣同士で席を取った。  立ち上がって、トレイを持って、箸をのせる。 「雅己、和食?」 「んー……どうしよかなあ。啓介は?」 「今日も動くから、とりあえずご飯は食べといたらええんやない?」 「そっか。そだね。おかずは色んなの取ろ」  言いながらも。 「でも、クロワッサン食べたいー」 「食えや」  クスクス笑う啓介に、うん、とニコニコしてると。 「ほんとお前らは……」  近くに居た要はクスクス笑いながらオレと啓介を見比べてる。 「ん?」  要を見て首を傾げると、いいや、なんでもない、と笑われた。 「なんだよー?」  バイキングの列に並んだ要の隣に並んで、そう聞くと、要はオレを見て、笑いながら首を振る。 「仲よすぎ、と思って」 「そう?」  今の会話のどこにそんな仲良し要素が?  和食か洋食か決めてただけだったような??  オレらのいつもの会話と、人が見て思うポイントって違うのかなぁ、なんて思いながら、食べたいものをトレイに乗せていく。  すると、鉄板が出てきて、周りに油と生卵、鉄板にそのまま置ける蓋が並んでる。 「あ。何これ。目玉焼き焼けるのかな」 「そうみたいだな」  卵の説明が書いてあって、どうやら近所で取れる、かなり高いイイ卵、らしい。 「啓介、目玉焼き焼こ~」  後ろに並んでた啓介を振り返ってそう言うと、へー、と啓介も楽しそう。 「オレ、目玉にしよ」  こんこん、と割って、ふたつ並べて、蓋をした。  要とオレと啓介の。焼けるまでの時間を砂時計で計るみたいなので、くる、とひっくり返して開始した。  ちょっと、微妙な空き時間。 「オレ、目玉焼きこんな風に鉄板で焼くの初めて」  たのしーなー、と笑って、両隣の二人を順番に見つめると、二人ともクスクス笑う。 「雅己は特に楽しそうやけど」 「こんな楽しんでくれてたら、旅館の人達もやりがいがあるよな」  なんて言って、オレの横で、オレを飛ばして会話している。

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