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「ヤキモチ」

「志門、こっち!」  フェイントでマークを外して、志門を呼ぶ。パスされたボールを受け取って、スリーポイント。  ――――綺麗に入った。  すげー気持ちイイな。  と思った瞬間。はっと、啓介の視線に気づく。  けど。試合中は呼ぶの、しょうがないだろ、と、あっかんぺーをして見せた時。 「お前のシュート姿勢、すげー綺麗だな」  志門が駆け寄ってきて、そう言ってくれる。 「ほんと?」 「あぁ。打った瞬間に入るって確信するっつーか」 「マジでー? まあ、でも師匠がいるから、オレ」 「師匠?」 「って、あ、やば!!」  無駄に話してたオレらを置いて、攻められてて、最後啓介にボールが渡ってしまった。もはや絶対見せつけている、お手本のような、スリーポイントシュート。すとん、とボールがゴールに吸い込まれて、落ちた。  べ、と啓介がオレにお返しのあっかんべーをしている。 「……師匠はあいつですよー」 「え……ああ」  むむむと眉を顰めながら言ったオレに、志門は、ははっと笑って、「なるほど」と言った。 「確かに、スリーポイントの見本みてぇ」 「でしょー。ムカつくよねー、あれ」  渡されたボールをドリブルしながら、チームの奴に回す。  走って敵コート、と思った瞬間、啓介がオレについた。 「……っ」  啓介にマークされるのが一番嫌い。  なぜなら。 「……っ」  パス、止められた。  そのまま、啓介から敵チームでパスが通って、シュート。 「ほんと啓介のマーク嫌い―!」  むー、と睨むと、啓介は、ふ、と苦笑い。 「絶対ぇ抜くし! 志門、いいとこでパスくれよ!」  めっちゃ真剣な顔してるオレを見て、志門は面白そうな顔をして、「オッケー」と笑った。  で。  めちゃくちゃ盛り上がった。むしろ一試合目より、混ぜ混ぜにした二試合目の方が、超盛り上がった。……まあ、オレのせいかもしれないけど。 ◇ ◇   結局、三試合して、終了することになった。  名前も結構覚えてきて、お互い、すっかり仲良くなってるし。  スポーツっていいよな。って、こういう時、ほんと思う。  他のこと、全然知らない奴らなのに。   「また夕食ん時に、バーベキューで会おー」 「おう。十八時になー?」 「またあとでー」  体育館の掃除をして、旅館まで戻って、とりあえず志門たちのチームと別れた。皆汗だくなので、準備出来次第でシャワーを浴びることになって、部屋と大浴場とに別れた。  シャワーを手っ取り早く浴びて、啓介と並んで部屋に戻ってる時。  志門たちとすれ違った。 「あ、お疲れー。早いな」 「うん。もー早く浴びたくて。あとでねー」  バイバイ、と手を振って、別れる。後ろに居る皆も、じゃーなーとか言ってる。 「朝まで知らなかったのに。楽しいよね、こういう感じ」  ふふ、とオレが笑うと。  啓介が、せやな、と言いつつも。 「あんま仲良すぎると、妬くから」 「……嘘だろ」 「ほんま」 「……嘘だよな??」 「本気」 「んーもー。……あ、もう疲れた。オレ、バーベキュー迄、寝ることにする」  言いながら部屋に入ったオレは、昨日寝てた布団をよいしょ、と広げて、ころんと横になった。  もーほんとに。  バスケん時もだったけど。普通に「妬くから」とか。  ……なんかアホなこと言ってるなーと思うのに、なぜかちょっと啓介のことが可愛く思えてしまう自分に困惑中。 ◇ ◇ ◇ ◇ (2024/3/28) ヤキモチって。適度なら可愛いですよね(*´ω`*)

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