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「ずっと一緒に」

 実家へのおみやげと、啓介とのお揃いのキーホルダーをゲットして部屋に戻ると、皆がお風呂に入り終えたみたいで、布団の上に揃っていた。寝転がってたり、座ってたり、バラバラだけど。 「おっ帰ってきたー。話そうぜー」  なんて呼びかけられて、はーいと、自分の布団の上にのっかると、オレはうつ伏せになって、枕に顎をのっけた。なんとなく皆、適当に部屋の中心の方を向いて、まあるくなってる感じ。啓介はオレの隣の布団に座った。 「なんか高校の頃の合宿みたい」  一人がそう言うと、皆、クスクス笑う。  じゃあなんか、近況報告からしようぜ、なんて話になる。  端から順番にってことで、オレが一番になってしまった。 「えーと……大学は楽しく行ってて、授業が長いのも慣れたし。あと、啓介と暮らしだしたのはもう言ったけど。で、この旅行の後、啓介と海の家でバイトする。ってそんな感じ」  そう言うと、啓介ばっかだなーとか、色々笑いながら飛んでくるけど、そこはもうスルー。「はい、次、啓介」とオレが言うと。 「えーと。雅己のに、以下同文って感じ」  笑いながら啓介が言うと、皆が、どっと笑った。 「もうほんと、どーなの」  クスクス笑われるけど。  まあ隠すようなことでもないし。ていうか、今までもずっとそんな感じで来たし。これは別に、付き合ったとかそういうのは関係ないんだよね。  そのまま続く、皆の近況報告を聞きながら、笑ったりツッコんだり。  付き合い始めて、三ヶ月ですとか言う奴がいると、どんな子ーって盛り上がる。可愛いとか、優しいとか。好きなとこは、それぞれ皆、色々違うみたいで。  でも、ふと気付く。  付き合ってる、とか言うと。当然のように「彼女」なんだよね。    まあでも、オレもそう思ってたから、分かるけど。  もしかして、同性が好きな奴とか居たら。……ちょっと悪かったなぁ。居たかもしんない。  ここに居る皆に。いつか、啓介と付き合ってるんだって言ったら。  どうなるのかなあ。理解できなくて離れてくとかも、あるのかな。ちょっとそれは寂しい。  皆があれこれ盛り上がってる中、ふと、横で座ってた啓介が、オレを見下ろしてきて、目が合うと。 「……どした?」  微笑んで、聞いてくる。じっと見つめられて、ううんと笑顔で返す。 「疲れたか?」  くす、と笑いながら、啓介がオレの頭をぽふぽふと撫でる。  と。 「何。雅己、眠いの?」  先輩達が、啓介の動作に気づいて、オレにそんな風に聞いてくる。 「昨日からいっちゃん、はしゃいでた気ぃするしな?」  そう言ってクスクス笑う啓介。「眠くないし」と言いながらも、でもやっぱり少し眠いのかも。というか、布団に入ったら急に眠くなってきたというか。 「啓介、あんま、雅己を甘やかすなよ?」 「離れる時、雅己が困るよな」  ……む。先輩達のそういう心配、ほんと、どうなってんの。  まあ……多分オレをからかって遊んでるだけなんだろうけど。まあいいんだけど。と思っていたら。 「離れないと思うんで」  と、啓介が言った。  皆、「えっ」と笑顔のまま固まった。オレは、笑顔じゃなくて、めちゃくちゃびっくりして固まっていると。 「そんな雅己が困るような感じで離れることなんかないんで。大丈夫ですよ」  啓介がそんな風に言うと、皆が、「ああ……??」と、納得したような不思議なような、変な声を出してる。オレがドキドキしながら、枕に口元埋めていると。 「ずっと一緒っていう話なのかと思った」  一人がそんな風に言うと、「オレもそう思った」と笑う皆。 「その内、付き合うことにしたーとか言いそうだな?」  一人がちょっと突っ込んだことを言ってきたけど。これも別に。絶対冗談として言ってる。啓介は、完全に涼しい顔してるし。

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