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「しっくり?」

 当然、するーっと話を流して終わるところ。と思ったら。  ……啓介が。 「そうなったら、どうします?」  と言った。  また皆が、えっと止まる。 「例えばそうなったら、皆どうするんかなーと、突然興味が沸いたんやけど」  啓介は、冗談っぽく言ってから、皆の顔をぐるっと見回す。……多分、オレ達が今そうだって思う奴は居ないと思う。そう言う感じで軽くその言葉を口にして、啓介が笑う。  オレは、今は何も言わずに黙ってよ、と心に決める。だってオレが余計なこと言うとバレそうだから。  変なこと言うなよーと邪魔してもいいとこかも、だけど、それをしないで、オレが黙ってる理由は。  ……さっき、オレと啓介が付き合ってるって言ったら、皆はどうするんだろうと。ピンポイントで考えてたことだったから、これはちょっと聞いてみたかった。まあ本気じゃなくて、冗談まじりの会話だとしても。 「んー? どうするって言われてもなぁ……」 「んー……そうだなあ?」  と、皆、突然変な質問をされて、考えているっぽい。あれ、なんか思ったより、まじめに考えてるっぽい?? ちょっと待って、なんかそこまでマジで考えられると、何も言わないのはおかしいような。うーん、どうしよ、と、微妙な気持ちで焦ったその時。 「……あんま、変わんねーかも?」  要が、のんびりとした口調で、そう言った。皆、なんとなく要の方を見る。すると、要、クスクス笑いながら。 「つか、なんか、しっくりくるかも」  ははっと笑って言った要に、あーそうかも、みたいに、皆がほわっと、笑う。 「今更って感じかもなー」  とか、言い出して、なんかその感じの結論に落ち着きそうになった時。 「ほな、しっくりくるて思う人ー?」  啓介が手をあげながらそう聞いたら。  はーい、と皆が笑いながら手をあげる。 「そうやて、雅己」  ふ、と笑いながら啓介が言う。 「……知らない」  ぽて、とオレは枕に突っ伏して、反応を拒否。  なんか知らないけど、皆は、変なことを啓介が聞いたから、オレがちょっと怒ったみたいな感じで取ったみたいで、「あーあ、怒っちゃったじゃん」とか、そんな声が、突っ伏してるオレの上を飛んでいる。 「別に、こんなので、怒んないし」  口元は枕に埋めたまま、顔を上げてオレが言うと、皆はまた、クスクス笑ってる。  皆、こんな感じで笑いながらだし。全然本気じゃないみたいだし。今、こんなこと言ってて、本気で、付き合ってるって言ったら、実際どうなるかなんて分かんないけど。  ……でもなんか。  ここの皆は……。もしかしたら、あんまり変わらず居てくれる人も、多いかもしれない……とか思えて。  ……なんか嬉しい気がしてしまった。  啓介が、「近況続けて」とか言ったので、また皆が続きを色々話してく。  しばらく聞いてる。 「雅己」  ぽん、と背中を叩かれて。ふと横を見ると、啓介が、隣にうつ伏せに転がる。皆がわいわい言ってるのを見てから、啓介がオレと目を合わせる。 「おもろいなぁ、ここの奴らて」 「……そだね」 「嬉しかった?」  少し小さな声で、聞かれる。 「……ん」  顔が綻んでしまうオレに、啓介も、微笑む。  ここの皆が、部活の仲間で。  ……良かったなぁ、なんて。すごく、思ったりして。  ……ていうか、啓介って、オレが思ってたこと、まるで分ってて聞いたみたいな?  って、たまたま偶然だろうけど。……でもなんか読まれてそうな気もして。こわーい、と、苦笑。    二日目の夜は。  めちゃくちゃおしゃべりして、過ぎて行った。      

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